2016年9月14日につくばで行われた予防衛生協会主催の講習会で「実験動物施設における危機管理」というテーマで講演しました。3.11東日本大震災の後、サル類の疾病と病理の研究会(2011年)で、類似のテーマの講演をしましたが、まだその時は危機管理学を学んでいませんでした。その後、2012年4月に千葉科学大学危機管理学部教授に就任し、危機管理学を学ぶことができました。今回の講演では、危機管理学の視点で全く新しく改訂しました。

 

危機とは?その定義は、ハザード(危害)事象のうち前例のある事象です。前例のある事象とない事象によりカテゴリーが分かれます。すなわち、起こり得る可能性の判断による定性的なもの(all or nothing)です。リスク管理の対象を決める基準の考え方は前例の有無によります。例えば、前例のない事象「天の崩落」「UFOによる侵略」は杞憂であり、対策はとらないのですが、前例のある事象「大震災」「戦争」「原発炉心溶融」「小惑星の衝突」などは、いかに頻度が少なくても、「過去に 起きている」以上、想定外ではない。これらの事象は、危機として危険予知・回避行動(リスク管理)・防災準備(クライシス管理)」の必要があります。

因みに杞憂とは、『列子』天瑞編にある「杞国有人憂天地崩墜、身亡所寄、廃寝食者。」に由来します。杞(き)の国に、もし天が落ちてきて地が崩れたら、身の置き所がなくなってしまうと心配して、夜も眠れず、食事もできなくなってしまった者がいた。

 

それでは、危機に対応する組織(危機管理組織)は危機のレベルによりどのように変わるのでしょうか?「起こり得る可能性の低い大災害」に個人で備えることは、コスト上不適切です。一般に、蓋然性が低く、大規模な危機ほど、「上級の広域組織」に危機管理をゆだねることになります。例えば、小惑星の衝突は世界的問題で、国連や米国NASAが司令塔になります。戦争、原発炉心溶融に関しては国家(あるいは国際)レベルで対応します。大震災は国(自衛隊:公助)、河川等の決壊は地方自治体(消防・警察・組合:共助)、 小規模災害や事故は集団組織、組合、個人(教育・訓練:自助)が対応します。

感染症の場合を考えてみると、パンデミックすなわち国際感染症は国連のWHO(世界保健機関)が、エピデミック感染症(広域の流行病)は国の行政である厚労省が、エンデミック感染症(地方病)は地方自治体が、一般的な感染症は個人とホームドクターが対応するというわけです。

 

危機のシナリオは多様ですが、危機管理には共通性があります。危機管理対応は3つのステップからできています。第一ステップはリスク管理risk control, risk management)です。危機(震災、感染症、テロなど)の同定から始めます。対象とした危機の起こる潜在的可能性(確率、社会的影響)を検討し、リスク評価と評価に基づくリスク回避措置(リスク管理、予防原則の適用)を取ります。その際、リスクコミュニケーションすなわち、関係者及び利害関係者への説明と同意が必要です。第二ステップは、危機の発生時の対応、クライシス管理crisis management)です。管理措置を実行するには、危機発生時のシミュレーションと複数の危機管理シナリオ(BCP business continuity plan)の作成が必要です。シナリオに基づく訓練と有効性検証(PDCA: plan do check action)、危機の認知と被害低減(司令塔と組織体制、優先順位、人的・物的資源活用)及び、危機対応(公助、共助、自助)とクライシスコミュニケーション(情報公開・透明性)が必要です。第三のステップは、レジリアンス管理Resilience management:復興、復旧)です。これには以前と同様のレベルに戻す(復旧・復興)場合と、失敗学に基づいて、以前より頑強にする場合と、反省学にのっとって、放棄、撤退する方法が考えられます。

 

 具体的には、リスク管理は、リスク「想定される事象により、引き起こされる危害の深刻さとその確率の関数」を求め、将来、発生する可能性のある危機事象に対する確率的な予測を行います。科学的なリスク評価に基づき管理措置(リスク回避措置)を取ります。基本的には、危害の存在 or 危害の程度に関して不確実性がある場合、それらの危害が現実に甚大であることが明らかになるまで待つのではなく、予防措置の手段をとり得るという予防原則を適用します。しかし、予防原則の適用には6つのルールがあります。1、相応性:保護すべき水準に応じた措置であること。2、非差別性:原則の適用に区別をつけないこと。3、一貫性:同類の評価手法と一貫性を保つこと。4、費用便益計算:潜在的な費用便益の検討を基礎にすること。5、検証義務:新しい科学的データによる定期的検証。6、検証責任:科学的証拠を作り出す責任を持つこと、です。②クライシス管理は減災+BCP(事業継続計画)の作成・実行です。減災対策により被害を軽減し、減災対策+事業継続計画による回復目標時間の短縮を目指します。③レジリアンス管理例としては失敗学があります。失敗学は東大工学部、畑村洋太郎名誉教授が提案したもので、① 失敗に対し、責任追及のみに終始しないで、② 直接原因(物理的・個人的な)と 根幹原因(背景的・組織的な)を究明し、③ 失敗に学び、同じ愚を繰り返さないためにどうすればいいかを考える。また、④ 得られた知識を社会に広め、他分野でも似たような失敗を防止する方法です。以下3点が失敗学の核となります。a. 原因究明 (CA: Cause Analysis)b. 失敗防止 (FP: Failure Prevention)c. 知識配布 (KD: Knowledge Distribution)です。『失敗学のすすめ』 (20054月、講談社文庫)

 

今回のテーマである実験動物施設の危機管理について考えてみます。日本ではクライシスマネジメント(Crisis management) とリスクマネジメント(Risk management)2つは、「危機管理」として同一視されています。しかし、両者の概念には、前述したように違いがあります。リスクマネジメントは、危害の発生を予防(被害低減)するためのリスク評価とリスク管理が中心になり、最善の手段は、リスク回避方法を確立することです。しかし、回避出来ずに災害等が起きます。このときの対応がクライシスマネジメントです。 危機発生時の対処方法が中心となり、 被害を最小にすること(減災)、企業活動・社会活動を維持することが最も重要です。そして、レジリアンスマネジメント、復興、復旧(失敗学に学ぶ)、撤退(代替)が実行されます。

 

今回は震災を危機事象として考えてみます。震災に会うリスクは、100年に1回の巨大地震(>~M.0)でも、全国にはHot Spotが約10か所分布していますから、全国では、どこかが10年に1回は巨大地震に巻き込まれています。各地域には平均4~10カ所の実験動物施設が存在しますから、全国では10年に1回、平均7カ所の施設がマグニチュード7以上の巨大地震を経験することになります。個別施設で考えると、施設を50年間維持するとすれば、1/2の確率で、巨大地震(>M7.0)を経験することになりますから、想定内のリスクとして対策を立てる必要があります。危機事象には他にも台風、洪水、大火事、感染症、テロ、実験事故などいろいろあります。

 

 リスク管理の具体例を見てみましょう。震災対策として第一は動物施設・実験棟などは、耐震構造あるいは免震構造が必要です。免震:地震のエネルギーを抑制することにより構造物の破壊を防止するもので、地震力をなるべく受けない(免れる)ことを指します。基本的には、地盤と建物を絶縁するため、間にダンパーや積層ゴムなどを入れ、地面の揺れが、直接建物に及ばないような構造にします(建物内部の備品は、地震の影響を受けません)。耐震は地震のエネルギーを受けても破壊されない構造で、構造的に頑丈で偏心(重心と剛心の差、ズレ)が小さく、地震力を受けても壊れない(耐える)ことを指します。建物は頑強で地震に耐えますが、内部の設備は固定(偏心の少ない配置)が必要です。

 

 第二は、震災時のための独立エネルギー供給体制です。免震、耐震により建物が維持できても、エネルギー供給が絶たれると施設の運営、機能維持は不可能です。非常電源装置、一般非常電源(コンセント赤)は、電源設備が自家発電、送電開始時間は40秒以内、連続運転可能最小時間は10時間以上です。また、自家発電:(electricity self-generation)は、電気を消費する者が自ら発電装置を備え発電することです。自らの消費を主目的としています。電気を売るために発電するわけではありませんが、危機管理上必要です。発電設備は、「事業用電気工作物」として公共の安全確保と環境保護のための保安規制などを受けます。病院、放送局、送信所・中継局などでも外部からの電源供給が途絶したときに備え蓄電池とともに自家発電を採用しています。エネルギー源としては、重油、太陽光発電、風力発電、地熱、バイオマスなどの利用があります。

 

 第三は、免震、耐震により建物が維持され、自家エネルギー確保で施設運営が遂行される段階で重要な要素となる水源の確保と汚物(動物死体)処理です。食料と水の確保はライフラインの途絶、外部エネルギー供給の途絶状態を想定してプランニングします。井戸水の利用(常設の井水プラントの設置)が必要です。また、動物実験施設維持のための廃棄物、汚物(動物死体を含む)等の処理は、感染症の発生防止にも必須です。エネルギー供給を必要としない処理法(発酵肥料化、好気性菌による堆肥化)を使います。超高熱好気性菌による堆肥化システム(種菌と混合、空気を送風するだけでよい)は、100120℃で滅菌、有機物迅速分解、土壌改良剤等として利用可能であり、現実的な対処法です

 

 第四に重要なものは、情報収集・発信のインフラの確保です。実験動物施設間のネットワーク(震災時支援)確保も重要です。平常時に使用している固定電話・携帯電話は、災害時には倒壊、土砂崩れなどによるケーブル、光ファイバーなどの回線断絶、通信の輻輳により繋がりにくい 状態になります。地上系の通信回線に加え衛星系の無線回線を確保するなど、通信系統の重複化が、災害時に確実な通信を確保するために重要です。衛星インターネットは、地上系の通信設備である光ファイバー網などを利用せず、衛星を介して 通信を行うことから、地上系設備の被災状況に左右されず、通信を確保できます。

 

 

 平成71月の阪神・淡路大震災の経験に学び緊急時対応策が国立大学動物実験施設協議会から提言されています。震災時のため、平時留意すべきこととして下記の様な事項が指摘されています。①動物福祉上の配慮、(a水源確保:災害時の水源確保(井戸・貯水)、給水ラインの破断防止(水道管と飼育装置の自動給水配管は耐圧のリコイリングホースで接続)緊急時の給水用具の備えが肝要。(b飼料備蓄:最低1ヶ月分程度の飼料の備蓄、(c空調機能の確保:自家発電装置。飼育室をカバーできる高出力装置が望ましい。燃料となる重油、軽油、燈油などの安全備蓄も考慮する。(d汚物処理:水洗できぬ状況を考え、床敷飼養への切り替え、汚物処理用具、ウェットティッシュ、ペーパータオル、古新聞、厚手のポリ袋、ポリ手袋。(e飼育架台等の固定:大型飼育装置は床固定式とする方が望ましい。飼育ラックや試薬棚類も壁固定を心掛けるとなっています。

 

地域環境保全への配慮としては、a動物の逃亡防止:閉鎖環境となっているが、万一の事態を予想し動物の逃亡防止には万全の対策が望まれる。感染実験中、RI トレーサー実験中、遺伝子導入の動物などは逃亡により自然環境を害する一面を含むので厳重なバリアーが必要。(b)地域住民への対応:地域住民に無用な不安を与えないよう、求めがあれば、機関の長を通じ、施設の構造・研究内容等について説明、資料提供を心掛ける。その他、災害時の行動マニュアルと職員連絡網の整備(携帯)、緊急時の対応訓練、ヘルメット、携帯電話・携帯無線、小型ジャッキ、懐中電灯、小型自家発電機などの備え・点検なども重要と記載されています。

 

クライシス(災害発生時)管理について考えてみましょう。中心はBCP: Business Continuity Planです。BCP(事業継続計画)の定義は「災害や事故で大きな被害を受けても主要な業務を短期間で再開させ、事業中断による当該機関の社会的責任の停止、活動の中断を避けるための計画」です。事前に災害、危機を予測し、それをもとに「いかに行動するか?}という具体案を作成し、災害や情報のトラブルに対し、事業や活動を維持し、研究資源を的確に守るための計画活動全般です。

 

 BCPの作成手順は以下の通りです。①策定準備:メンバー決定、策定スケジュール決定、②基本方針:目的、組織への期待と効果、クライシスシナリオ、優先事業の整理、③重要業務の特定、中断の影響度分析、復旧期限の目標設定、稼働レベル、運営資源(人、物、施設、金、IT等)の分析、④クライシス評価:脆弱性の評価、被害の大きさの評価、⑤事業継続対策の検討・決定:目標時間内に復旧させるための費用分析です。a. 早期復旧戦略(その場で復帰)or 代替戦略(違う場所に移る)、b. 経営資源の代替(代替要員、データのバックアップ、物品の代替、保険・融資)、⑥BCPの文章化(可視化):行動計画、a. 初動対応(緊急時連絡網、発動基準、対策本部設置、広報、被害調査)、b. 災害時用の書類作成(安否確認、メールアドレス簿、取引先リスト、備蓄品リスト)、c. 年間スケジュール(訓練計画、監査)、⑦BCPの試行(訓練・演習)、計画読み合わせ、確認訓練、被災シナリオ演習・改善(PDCA)です。

 

 クライシス管理の具体的な内容を見てみましょう。震災発生時の基本的な方針は、①職員の人命安全と、②社会的責任の両立を図ることです。業務の重要度による序列化と人的資源分配を決めます。クライシス管理は被災レベルに応じた管理措置をとります(レベルについては後述)。責任体制の明確化(司令塔、対策本部)、代行者の確保、司令塔は情報の収集、分析、発信及び行動計画を実施します。クライシス広報は情報の共有と透明化、情報公開、利害関係者への説明と同意が必要です。重要業務の継続については、重要業務の選別、遂行上の人的、物的資源の確保、交通手段の途絶時に施設にアクセスできる人員(例えば、施設から10km以内の職員)の確保を行います。

 

 手順をまとめると、①人命救助、②外的状況を把握するための情報入手、被災レベルの判定(1~4)、施設被災状況の把握、餌、水、エネルギー(必須3要素)の評価。③レベルに応じた処置の決定(感染動物対応)、移動の可能性 or 感染動物処分の優先順位決定、④処分動物の後処理などです。なお、被災レベルは、レベル4:施設崩壊、情報途絶、ライフラインの崩壊(電気、水道、ガス、輸送)、レベル3:施設維持(内部崩壊)、ライフラインの断絶:長期断絶(3か月以上)、レベル2:施設(一部崩壊)、ライフラインの停止(1か月)、レベル1:施設維持、ライフライン停止(1週間)として、クライシス管理シナリオ(BCP)を作成しておきます。

 

 クライシス管理時(crisis management)の組織の機能と役割を見てみましょう。責任と命令系統 (Headquarter)では、危機管理者(現場)は緊急事態への事前準備、管理の総合的・技術的責任を取る。本部長(司令塔責任者)は最終責任を取ります。緊急時には、命令系統と指揮管理が迅速かつ途切れなく実施されるための事前計画BCP)が必要です。また、司令塔から現場へ情報・命令が直接伝達され、現場情報が本部にfeed backされる仕組が必須です。

 

クライシス管理の事前の準備(preparation for crisis management)としては、事前の財務計画が必須です。資金は特別基金として維持、投入される状況を予め特定しておくことが必要です。緊急措置(クライシス)に適用するため、実施すべき承認済みの計画(PCB)があること、全ての資源のリスト(人員、設備、物的資源)の作成、シミュレーションに基づく訓練も必要です。

 

 クライシス管理:72時間までは人命救助を最優先します(現場の判断を最優先)。司令塔が現場にない場合は、現場の責任者が全権を持つことになります。72時間後は、管理者が本部長に概要を伝え、救援活動のための支持を得ます。緊急事態対応の専門委員会等の開催、状況調査、分析、行動方針の決定、命令、広報を行います。基本的にはクライシスレベルに対応した措置をとります。

復旧時対応(resilience management) は、復旧計画を確立、実施、被災レベルにより(復旧、復旧+頑強性、撤退)、全ての利害関係者と共に危機管理計画を見直し、緊急時対策を改訂することになります。

 

 平成7年:国立大学動物実験施設協議会の提言による、災害発生時における措置(クライシス・マネージメント)には、災害発生時には施設長、管理官等の指揮の下、以下の対応をとる。①施設全体(動物含む)の被害状況の概要を把握、②対策本部の設置。職員の安否、出勤の可否などを確認、クライシスレベルに対応したBCPの実施、復旧行動(レジリアンス管理)計画を練る。③逃亡動物の収容・選別(止むを得ぬ時の安楽死措置)、 給餌・給水体制の確立、動物屍体の処置、飼育室や一般区の清掃・衛生処理など、順次、緊急度を要するものから復旧作業にとりかかる、と記載されています。

 

 また、報告および通報(クライシス・マネージメント)には、1)災害発生時、関係者及び本部等に連絡(確認と報告事項)。(a)人身事故の有無、(b)動物への被害、(c)建物・設備等への被害、(d)ライフラインの状態、(e)物的・人的応援の必要性、(f)その他となっています。チェックリスト化しておくとよいでしょう。2)新聞発表等は施設長や管理官の責任の下で一元的に行う。3)施設の機能がほぼ復旧できた時点では、被害内容、取った対応策の実際等につき報告書にまとめ関係部局に提出し将来の参考に資する

 

災害時の動物実験施設の危機管理に関する法的対応と課題について考えてみます。実験動物に関する法律「動物の愛護と管理に関する法律」の(8) 災害時対策には以下のように書かれています。①現状と課題:地震等の災害時には、動物を所有(占有)する被災者のの安らぎの確保、被災動物の救護及び動物による人への危害防止等の観点から、被災地に残された動物の収容・餌の確保、特定動物の逸走防止、捕獲等の措置が、地域住民、国や地方公共団体、獣医師会、動物愛護団体等により行われてきている。今後とも、これらの措置が、関係機関等の連携協力の下、迅速に行われるようにするための体制を平素から確保しておく必要がある。②講ずべき施策として、地域防災計画における動物の取扱いに関する位置付けの明確化を通じ、動物の救護等が適切に行うことができるような体制の整備を図ること。動物の救護が円滑に進むように、逸走防止や所有明示等の所有者の責任の徹底に関する措置の実施を推進すること、とされています。

 

それでは、地域防災計画を見てみましょう。地方自治体で定められています。何回か震災を経験した新潟県の例では、以下のようです。現状と課題:本県は平成16 年の7.13 新潟豪雨、中越大震災、平成19 年の中越沖地震と大きな自然災害に度重なり遭遇した。県では2 つの地震に際して、関係団体と動物救済本部を設置し、動物の飼い主に対して動物の健康相談、一時預かり等の事業を実施した。災害時には、多くの住民が避難所での生活を余儀なくされるが、被災した動物も一緒に同伴避難できる体制を十分に整える必要がある。家族の一員である動物が一緒に過ごせることは、心のやすらぎとなることから、災害時にも人と動物の絆を守れるような仕組みづくりが必要。被災動物の救済や人への危害防止の観点からも動物救済体制の整備が必要。行政及び動物飼育者は、普段から備えるべきこと、緊急時に取るべき行動を認識しておくこと、動物飼育者は他の人に迷惑をかけない飼育を平時から心がける必要がある、とあります。基本的に伴侶動物を想定しており、産業動物、展示動物、実験動物は自助で、共助・公助は望めない感じです。

 

 震災時の動物対応の実態をまとめてみます。伴侶動物は個人的に連れて避難(同行避難、同伴避難)です。愛護団体、獣医師会、NPOの支援がありますまた、災害時のための基金(初動体制のため)もあります。動物園動物は基本的に逃亡防止です。日本動物園水族館協会の支援、全国ネットワークがあります。家畜は農林水産省が指示を出します。獣医師会、NOSAI等が支援しています。実験動物では、齧歯類等に関して国動協、公私動協のネットワークがあります。しかし、サル類施設に関しては機関の自助努力になります。また、文科省傘下の大学以外の施設(厚労省、経産省、民間企業他)では共助のネットワークが必要ですが、まだができていません。

 

 インターネットで調べていたら、慈恵医大の震災時の動物施設での対応マニュアルがでてきました。http://www.jikei.ac.jp/jikei/finance/doubutsu/H27.10/22.pdf、体系だって書かれています。概要だけピックアップしておきました。

 

 

 動物危機管理学は、動物とヒトの絆(human animal bond, 人と動物の共存・共生)を危機管理という視点から、学び、考えていく学問です。各カテゴリーの動物(伴侶動物、産業動物、野生動物、実験動物など)とヒトとの関係・絆をどのように維持していくか?4つの動物群と中央の考える人を一筋書きでつないだのはそのためです。

 

 真ん中に地球を描いたのは、危機管理の根底に「One World, One Health, 一つの世界、一つの健康」というコンセプト(2004年、NY・マンハッタン原則)があると考えたからです。マンハッタン原則では、ヒト・家畜・野生動物の健康は一つがっている。ヒトは清浄な水、空気、土壌と動植物の生態系サービスという一つの世界に生かされているいるという考え方です

 

 

Animal crisis management leaning is a science which is thinking about human and animal ties. It is human-animal bond, and the coexistence such as symbiosis of humans-animals. This science has a style of the project-based learning from a perspective of the crisis management. The contents are learns about essential and regulatory sciences of human-animal ties with each category of animals such as companion animals, industrial animals, wild animals and laboratory animals. The reason why the Earth is drawn in the middle of this picture is there being a concept that the animal crisis management approach is based on  "One World, One Health" in the Manhattan Principle 2004 (Drawing, Sentence by Yasuhiro YOSHIKAWA)

 

 

 世界は一つという考え方をもう少し踏み込んで考えてみましょう。ヒトと家畜、ペットや野生動物などの生きている社会が日常的に我々が意識している社会です。しかし、動物は自分で栄養を作り出すことのできない生き物です(従属栄養生物)。エネルギー(ATP)のもとになる糖と酸素は、植物の光合成(葉緑体、シアノバクテリアの末裔)によって作られます。ATPはミトコンドリア(αプロテオ菌の末裔)で合成されます。

 植物の光合成に必要な光は太陽から、炭酸ガスは動物から呼吸残渣として排出されます。植物と動物の間で循環が起こり、持続的な平衡状態が作られているのです。

 

 しかし、これは目に見える社会のエネルギー循環です。実際には空気中の80%を占める窒素は根粒菌などの窒素固定細菌により、硝酸塩などに変換され植物の栄養に利用されますし、脱窒菌により、酸化窒素や窒素として土壌から空気中に戻されます。リンについても同様にリン固定の土壌菌により植物の栄養源として利用されます。また酸素も植物だけでなく膨大な種類の藻類やシアノバクテリアによって作りだされます。藻類や細菌はプランクトンや原生動物の餌になり、プランクトンや小魚は大きな魚に食べられ、水産資源としてヒトの食用になります。家畜や家禽も肉、卵、乳としてヒトの食用に供用されます。

 

 食物残渣や家畜糞尿などは堆肥(通常は嫌気性の発酵菌による処理)として植物や土壌菌の栄養源になりますし、バイオマスも発酵細菌を利用してメタンやエタノール産生に利用されます。こうして大気も、水も、土壌も目に見えない細菌や古細菌、原生生物の土台の上に成り立っているのです。腸内細菌叢を含め35億年から40億年の歴史を持つ細菌や20億年の歴史を持つ原生生物の今も続く活動の上に、動物や植物、ヒトが生かされているわけです。

 

 この食料環境循環が破たんした時が、本当のクライシス(破滅的危機)です。地球の温暖化や異常気象、環境汚染や砂漠化、大気汚染や水、土壌の汚染・劣化は破綻的危機に進行する前段階です。危機をどのように回避するかは、どのように地球の生命を理解するかによっています。

 

妻と作った人形。

娘の修学旅行の写真をもとにしました。

オリジナルの写真です

 

娘のドイツ時代のカーニバルの写真です。大家さんは子ネズミちゃん「モイスヒェン」といっていました。

下の人形は妻の作品です。

先日、妻の作品が創刊700号記念家庭画報大賞の佳作に入りました。

題「何して遊ぼう」です。