先日、今治市で2回目の市民説明会がありました。前回は獣医学部の概要説明でしたが、今回は、新学部の「特徴と地域貢献」について紹介しました。その時使ったスライドです。

議事録(概要化、一部改正)とともに掲載します。

 

柳澤学長、有難う御座いました。獣医教育改革運動は約50年前、僕らの先生のもうちょっと上ぐらいの先生方から進めてきました。今、柳澤先生に説明していただいた通りです。獣医学の専門でない先生から、ここまで獣医学教育の経緯と問題点について明確な説明を聞いたのは初めてです。数十年前に、こういう先生を見出すことができれば、我々の教育改革運動ももう少し早いテンポで動けたのかな?というふうに思っています。これまで獣医学という狭い世界の中(獣医村)で、種々のアイディアを出しながら改革してきましたが、なかなか、問題を解決するということができなかったわけです。

規制緩和という方法は効果的です。本来、規制している省庁が自分で自分の規制を解くということは不可能で、自己否定になります。外部からの指摘、あるいは圧力が無ければ、行政が自分で変わるということはあり得ません。そういう意味では、特区決定は非常に獣医の関係者にとってはありがたいことです。今回つくる大学が改革の一つの新しい先駆けとして、モデルを示せればというふうに考えています。

 元々指摘されたように、獣医学教育の規模は小さいです。また、卒業生を全国にばらまいてオールジャパンで行く、というのが獣医の一つの売り文句でした。国内調整・自己完結型の獣医学教育と人材養成をするというのが基本戦略でした。これに対する2つ対立命題が「ローカルとグローバル」、国際的な視点と地域貢献というものです。オールジャパンという名目で、調整をずっとやってくるというのが、ある意味では数の少ない獣医大学分野の宿命だったような気がします。新設獣医学部では、「グローカル」というやや古いけれども、やっぱり獣医にとっては基本になる命題だと考えて、4つの先ほどのテーマの中に入れました。

グローバルに関しては、国家ミッションのこともあって、これまでの新設学部説明でかなり答えてきたので、今日は、ここにあるように新しい獣医学部の特徴とローカルという地域貢献という、今治・愛媛県・四国に対して新しい獣医大学がどんな貢献ができるんだろうかということをメインに話したいと思います。

 

 

 最初に、新設獣医学部の4つの特徴について述べます。先ほど柳澤先生が言われたように、獣医学に対する新しい社会ニーズ、国際ニーズにどう応えていくかということが最大のテーマになります。話題は、どうしても獣医学部・獣医学科というところに目がいきますが、新しい獣医学部は、2つの学科をつくりました。

 1つは獣医師のための獣医学科、もう1つは獣医師と一緒に専門分野の仕事を担うパートナー「獣医関連専門家 Veterinary Para-Professional」の養成です、略してVPPと呼んでいます。これは世界178カ国の獣医教育に対してコアカリキュラムを提示している国際獣疫事務局(OIE)、世界の獣医の司令塔なんですが、そこが5年前に獣医学教育のコアカリキュラムを出して、去年からこの獣医師のパートナーを育てるプログラムを考えてくれということで、世界に投げかけたわけです。それに応えようというのが獣医保健看護学科です。

 どういうふうに応えるかということですが、新しい社会ニーズというものを大きく獣医の職域として分けてみると、3分野に分かれます。1つがライフサイエンス研究、もう1つが公共獣医事、さらにもう1つが医獣連携の獣医療です。その3分野を獣医師に、またパートナーを組むVPPに用意しました。

VPPでは、ライフサイエンスに相当するところが実験動物技術者あるいは研究支援者。公共獣医に相当するところが公務員、医獣連携獣医師に相当するところが高度獣医療看護専門家です。獣医も類似の形で分野を3つに分けました。

教育課程も全国共通でやられる16大学のコアカリキュラム、獣医の場合はこれが4年、その上に2年間、3つの分野の専門分野教育の科目群を設けました。これは獣医系大学では、初の試みです。同様に保健看護も、基礎科目、全国共通の看護のカリキュラムの上に3分野のアドバンスト科目群を置きました。

3番目の特徴は、教育と研究を調和させるシステムです。従来、講座制がそのまま研究室という形で、各講座がタコツボ型に一つずつの研究テーマを持つというやり方で来ました。2年前、日本学術会議・獣医学分科会から新しいライフサイエンス研究ということで、「動物界 One Health, アグリサイエンス研究拠点」という形で政府に重点研究課題を出し、最終27課題に残りました。その時に「タコツボ型の研究はやめよう」ということを考えました。獣医だけではなく水産・畜産等を含め垣根を取り払って研究チームを作ろうという構想でした。東大を拠点に200億円くらいの予算で要求しました。提案は採択され、通っていますがまだ予算は付いていません。

そうした経緯から、今治の獣医については、教育は継続性を持たなくてはだめなので従来の講座制をとります。しかし、研究については講座はやめてプロジェクト型で横に繋ごうと考えました。それは保健看護のVPPも一緒にやるという形で新しいタイプの研究組織を作りました。

 4番目は、先ほど言われた国内最大級の教員、特に世代間年齢のバランスをとるということと研究重視という教員任用で行いました。

 

 

獣医関連専門家、VPPの教育4年生までを3つのステップに分けています。12年生は、共通の導入教育から基礎、それからコアの教育を行います。残りの1年半くらいが3分野の新しい教育です。VPPのカリキュラムは、獣医のコアカリキュラムと違って国際的には示されていません。しかし、日本としては3分野の専門パートナーを育てるということで実験動物科目、公衆衛生科目、高度獣医看護科目という3分野を設定しました。定員60名を、大体20人・20人・20人くらいの形で育てたいと考えています。卒業後の主な職域は(画面の)紫色のところに書いてあります。同時に、パートナーですから、実際には60人の学生さんを、獣医の学生さんを含めて87人の教員で育てるという考え方です。特に導入・基礎科目の1/3、あるいはアドバンスト科目の約1/3は獣医学科との共通科目です。こういく形で育てていきます。

 獣医は6年なので、単純には1.5倍に延びたと考えていただければいいです。4年までは、保健看護と一緒にやる部分と、それから獣医のコアカリキュラム、一般の16獣医大学で共通に行われる全ての科目、これを4年間で行います。残りの約2年間はアドバンスト科目として大体40科目、実習・講義科目を行います。3040人ずつ3分野に分かれて2年間の専門教育を受けるという形になっています。特に文部科学省との約束で「国際対応ができる」というので英語教育を行います。ステップアップを図り、アドバンスト科目の約2割を英語で習うというような格好になっています。

 

 

新学部には、充実した研究教育施設が必要で、1つの特徴としては、オープンラボがあります。講座を解消してプロジェクト研究をやるために講義実習棟の5階と6階の2フロア、それぞれ800㎡くらいのところを全部共通で使える共同の実験室にしました。講座で研究ということはしないで、その2フロアで全員がそれぞれのプロジェクト研究に合わせて共同研究を行っていく。場合によっては教授と准教授は違うテーマのプロジェクトに入ることがあり得るかもしれないし、保健看護の先生と獣医の先生が一緒にプログラムを組むということがあっていいということです。

 実験動物センターは、2,000㎡近くを1階に置きました。34年後には国際実験動物ケア(AALAC)の認証を受けるというハード・ソフトのデザインにしました。他に特徴としては、普通の獣医系大学にはありませんが、四国の水産養殖が非常に盛んであることを考慮しました。国際的には証明書を出すのは食品の安全性等に関して畜産・水産動物、その加工品も獣医が管轄しなければいけないという形になっています。日本は水産庁と農林省で分けていましたから、獣医がそこに顔を出すということがありませんでした。しかし、これからの獣医はそこもカバーしなければいけないと思います。大きな水槽も含めて水産系の研究施設もつくりました。水産の先生にも来ていただきます。他に機能形態の解析室もあります。

 

 

  教育研究施設として情報センターを動物病院の3階に置いてあります。ここは世界中の情報を集めて研究に使うと同時に、編集して発信しようということで、特にアジアの情報のハブになるということを目的にしています。

  実習室は獣医実習学部棟に5室、教育病院に3室、あと大動物実習棟という形で分かれています。病院は4階建てです。12階は、2次病院として機能させます。町の獣医さんが開業している病院が1次病院、その上を引き受ける、1次病院でこなせないものを大学のほうでやるというのが基本です。ここにはかなり大型の先端医療機器が入ります。人間とほとんど同じでXCTとバイオMRI、また癌の治療用に「放射線治療装置リニアック」が入ります。

 他に講義室・演習室はICT用の教育を行うということで、大体コンピューターシステムが動くwifiが使用できるようになっています。

 

 

ここからは、今日のメインテーマの地域貢献について説明します。あまり今まで、従来の獣医大学では行われなかったローカルな役割をどうこなしていくかということを説明したいと思います。

大きく分けて教育のほうとしては耳慣れないかもしれませんが、先ほど柳澤学長が言われたように岡山理科大には「準正課教育プログラム」というのがあります。その中で、3番目の項目に地域コミュニティー交流プログラムというのがあります。後で説明したいと思います。それから高大連携、高校への出張講義や連携研究、それから市民講座、また専門家研修として獣医師の卒後研究とか専門家の研修、その他と種々のことが考えられます。

 研究は先ほど3分野の話をしました。ライフサイエンス分野としては人の疾患モデルの開発、あるいはトランスレーショナル研究という基礎から臨床につなげる研究、それから、これから展開しようとする生命医科学検査研究センターがあります。公共獣医事分野としては感染症対策支援、水産養殖、野間馬の保全というような研究があります。医獣連携分野は、伴侶動物を用いた新規治療、予防薬研究等、こんなことを展開して地域産業の振興及び教育研究として活かしていきたいと思います。

 

 

 準正課教育プログラム、ちょっと耳慣れない教育プログラムです。私も岡山理科大に来て初めて聞きました。東大で言えばちょっと応用ゼミみたいな形になるのかもしれません。正式な単位にはなりませんが、地域コミュニティー交流プログラムというのがあります。

 ここは今治用に書いてありますが、獣医学部は特に特区を利用して設立された学部で、地域と深い関係を持つということは、最初のミッションにあります。教員・学生を含めて地域の一員として地域と融和して大学生活を送ること、特に先ほど柳澤学長が言われたように、この準正課教育というのは学生主体で行っていこうという目論見です。

 将来の職業人あるいは地域リーダーの人材育成ということで、公開講座あるいは地元高校との生物クラブ交流、共同研究、地域ボランティア活動ということを学生が企画します。そこにあるようにステップ1から4まであります。概要を説明した後、戦略会議で各企画をしていく、そして実際に地元との交流プログラムを作って実施し、年度末には意見交換会ということで、地域住民と一緒にやっているグループを交えて総括と来年度の計画を立てるというのを繰り返していく形になります。

 

 

このアンケート調査結果は、決してやらせではありません。先日、逆風に耐えて来てもらう90人近い教員にアンケートを取りました。4月の開学以降動いていかなくてはいけない大学の委員会は色々あります。どれに興味をお持ちか主体的に参加してもらえるか?というアンケート調査の結果です。このほかにも、まだ細かい委員会はあるが、大きくこのような委員会が4月から動いていかないといけません。

アンケート結果で注目されるのは、本当にアンケートをまとめてびっくりしたんですが、「地域貢献・連携」が実は25人ですから、90人なので1/4強です。4人に1人以上の教員はこの委員会に参加したいと言う意見を述べてくれています。次の世代の教員たちが、やはり大学は地域コミュニティーの拠点(COC, Center for Community)となるべきであるという意識が非常に強いということを感じた次第です。

 

 

市民の公共施設として「市民の利用」ができるというところでは、図書館(管理棟3,4階)は3.5万冊でしたか、色々な雑誌、本をいれます。ここはいつでも訪れてください。

それから図書館の下(2階)は食堂になっているのでここも利用していただけると思います。多分大学に来る業者さんにとっても、やり甲斐があるというふうに思います。大学は、学生さんたちが休みのときは、食堂は開店休業になってしまうので、市民の方も是非利用していただきたいと思います。動物病院の方に来られるクライアントの方も当然利用していただけます。あと、イベントがあれば講義棟の7階のフロアにかなり大きな大会議室もあるので、見晴らしも良いですし、市で何かを使う時は是非使っていただきたいと思います。

 ほかに広場の中庭のところには、ずっと1階の方から移動できる、ウッドデッキでつながっています。中に憩いの広場というものがあって、大きな池というか、水場があります。そこからはしまなみ海道も見れるところがあるので是非、春になって気候が良くなれば、訪れてください。街から2㎞もありません、健康がてら坂をあがってきていただければ楽しいのではないかと思います。

 

 

ここからは少し専門的な話になりますが、千葉科学大学の時にも高校の出張講義をやっています。僕自身は長野県の出身なので、長野県の高校の授業を受け持つことが多いですが、16年、佐久平では動物危機管理学の話をしました。動物危機管理は獣医とVPPの役割が結構多いです。動物と言ってもペットの伴侶動物から家畜、動物園の動物、実験動物、野生動物もあり、5つの全く違うカテゴリーに分かれます。また、危機と言っても環境汚染とか地球温暖化とか絶滅危惧種みたいに、常時ずっと進行している危機もあれば、いわゆる突発的な危機もあります。これには、人為的な事故とかテロ、あるいは自然災害の問題、感染症と言う4つのカテゴリーがあり、動物種と縦横で20とおりのコマができます。危機管理として起こる前のリスク評価とリスク管理、起きた後のクライシス対応、復興・復旧を考えると3段あり、合計で60個が動物の危機管理の大項目になります。これをどういうふうに教え、学んでいくかが大学教育なんです、という話です。

生物の生体防御の反応に関しては、ここにあるのはインフルエンザウイルスの感染の絵が書いてあります。一番目の最初に起こる生体反応、炎症のようなところは環形動物ですからミミズでも起こる。もう少し上にいってインターフェロンとか自然免疫の細胞が出てくるのは脊索動物のホヤとか無顎類のヤツメウナギくらいまでが対応する。さらに、本当に特異免疫を担うヘルパーT細胞とかキラーT細胞など、免疫リンパ球が反応するあたりで、魚類・両生類となり、すべての反応が完結するのは鳥類・哺乳類になります。進化論と生体の防御反応と言うのがどのように発達してきたのか、「人の個体防御は系統防御を繰り返す」、ということも習うことになります。

 

 

これは北里大学の頃からやっている市民講座のゲームです。みんなにカードを配って知らないうちに、例えば今日はここに500人の方がいますが、500人にカードを配ってから、誰かに当たりくじ(最初の感染者)を出します。1人が4人ずつカードを交換すると、感染症がどんなスピードで広がっていくのか、中にはスーパースプレッダーといって一人で何十人という形で、感染症を広げる人もいるし、意外に感染を免れてしまう人もいる。こうした話をしながら、ワクチンというものが感染症にどういうふうに貢献していくかと言う話をして、結構うけていいます。市民講座のゲームの一つです。

 

 

獣医師や動物取扱専門家等については毎年いろいろな件で頼まれて、特にペット等の感染症とそれをどういう風に扱ったらいいのかというような講演をしています。保健所あるいは動物愛護・管理センター、あるいは厚労省に頼まれて地方自治体の責任者の研修などをしていきます。

 

 

今治獣医学部には、今治というだけではなくて、先ほど説明のあった千葉科学大学・倉敷芸術科学大学、岡山理科大学を含めて生命医科学検査研究センターを作ろう計画しています。新しい先端検査機器は、今度の備品で全部入れてもらいます。その上で検査の対象は違っても、ヒトでも食品でも、動物試料でも分析する機器はほとんど同じなので、統合的に検査しようというものです。

今までヒトの医療検査の方はヒトの検体しか扱いませんでした。ここでは、獣医は伴侶動物、産業動物それから今回、水産養殖魚類の検査も引き受けたいと考えています。その他にも食品、野生動物を含めて、病理、微生物、生化学、その他公衆衛生の専門家などが機械で分析します。臨床の方であれば町病院から来た材料を検査して返す、あるいは水産の方でHACCPの問題で病原体の検査をしてくれと言えばそれも扱う、あるいは感染症の病原体を分析するということになろうかと思います。

 

 

ライフサイエンス研究の方は、筑波の研究所にいた時にサル類を使って、先取りでヒトの加齢性疾患のモデルを作るという研究を行いました。パーキンソン病、脳梗塞、内分泌かく乱科学物質による性同一性障害のモデル作成を進めました。また、すべてサル類を使って、プリオン病、アルツハイマー病、加齢性黄斑変性症、Ⅱ型糖尿病といったようなモデルも作って来ました。今後は、今の流れでいうと、ライフサイエンス研究はゲノム編集という、新しい疾患モデル動物が育って出てくると思います。新しい獣医学部では、地域の大学や創薬企業等と連携しこういったモデル動物の利用にも取り組みたいと考えています。

 

 

 動物モデルというのは、実験的に作るものと自然発症するものがあります。特に伴侶動物に関しては、僕らが獣医学生であった時代には、だいたい犬猫は3歳から頑張って5歳くらいで亡くなることがほとんどでした。しかし、その後感染症のコントロール、飼育環境がよくなって、今や犬が14歳~15歳、猫も15歳。人間でいうと80歳くらいの平均寿命になってきました。したがって出てくる疾患も昔と違っています。認知症、癌、慢性感染症、前立腺肥大、糖尿病とヒトとほとんど同じ疾病が出てきます。

 こうした類似性を考えて、医獣連携研究を考えました。医学も獣医学も一つである「ワンメディシン」、という考えで、今治では臨床研究を進めようということです。

 

 

 動物教育病院に伴侶動物のトランスレーショナルメディシン、一つの医学というセンターと、千葉科学大学・倉敷芸術科学大学・岡山理科大学の3大学を連携し生命医科学検査研究センターを置きたいと思います。高齢伴侶同物を対象に新しいヒトと動物の診断・予防・治療法開発、その有効性の評価をしたいと考えています。色々な製薬企業、医療機器のベンチャーなどと組みたいと、それから色々な材料を含めて市中の動物病院あるいは受託試験会社と組むことを考えています。創薬・治療までを考えると愛媛大学医学部とか千葉科学大学の薬学部と組んで、トランスレーショナルメディシンという、ワンメディシンの研究を進めていきたいと思っています。

 

 

これは野間馬の保全研究ですが、私が筑波にいるときに、熊本に当時B型肝炎の研究のためにつれてこられたチンパンジーがいました。大学等で研究に利用した後、株式会社スズケンさんが引き取って、今も熊本にいます。閉じられたコロニーで育てていたためにどんどんと近交系化が進んでしまい、問題が起こってきています。

そんなときに韓国からきた留学生に、組織適合抗原(MHC)の分析をしてもらいました。我々は一人ずつ違う組織適合抗原、というのはちょっと難しい名前ですけど、そのパターンが違っています。そのために、同じ病原体にかかっても重くなるひともいれば軽く済む人もあるという違いがあります。その違いの多様性でいろんな病気をまぬがれてきています。しかし、閉じられた社会になるとどんどん近交系化が進んで同じ遺伝子を持つようになるという問題があります。

これが、一番キーになる組織適合抗原の遺伝子型です。これはDP,DQ,DRという遺伝子群ですが、それを調べてみたら恐ろしいことに、かなりの個体の対立遺伝子が全部同じ形になっている、これは危険である、ということになりました。ホモ遺伝子同士の個体の交配を替えて、繁殖個体をだんだんとヘテロ、多様性を持たせていかないといけないというようなことをやってきました。

野間馬も同じような状態になっているので、下に示したキーになる3人の先生をコアにして、野間馬の衛生、遺伝管理と保全をやっていきたいと言うふうに思っております。

 

 

それから感染症の問題というのも一つの大きな問題です。これは神奈川県で3年間くらいかかりましたが、鳥インフルエンザのリスクマップを書いたものです。だいたい5キロ平米ずつ神奈川県を分割し分析したものです。一番左にあるのが野鳥が飛んできてウイルスを落としていくリスクの高さで、赤いほうが危険、ブルーの方がそれほどではない。真ん中は養鶏場のところと重ね合わせたときにどがハイリスク(ホットスポット)となるかというようなことを図示しました。

実際に現地に行って起こったときどうしようかという話を作っていくわけです。最初言ったようにリスク管理というのは起こる前に科学評価をしてどう対応するかというのが最大のテーマです。しかし、それでもある頻度では、家禽のインフルエンザは起こるわけです。そのときはクライシス管理という形で起こった時にどうしようと、計画を立てます。その後を過ぎて、復旧をというプログラムに行くと言うのが危機管理の基本対応です。

 それで高病原性鳥インフルエンザに当てはめてみると、ファーストステップは侵入リスクと、疫学者等を含めてどう評価してシナリオを作っていくか、実行可能な監視を含めたリスク回避方法をどうするかということ。二番目は、そこで起こった場合、地方自治体としてどういう対応をとっていくか、というようなことを組み立てて、それを机上で作ったあと実行して、モデルとして実際動かして問題点があるかどうかチェックしていくことになります。復旧・復興プランについては、なかなか国が面倒を見られないところがあります。この点、公助は自治体自身の責務になってくるので、復旧基金や復興計画を積み上げていくということをやってきています。これを感染症ごとに作らなければいけません。

 

 

地域産業の振興例として水産を挙げみたいと思います。どういう形で飼育をするか、環境汚染を含めて環境循環をどういう風に組み立てていくか、災害時の対応をどうするか、ということに取り組みたいと思っております。

それと関連して、国際獣疫局(OIE)が定めた国際感染症、家畜も多いんですけれど、甲殻類、エビ・カニについても絶対に押さえなければならない感染症と言うのはここにある感染症です。魚はもっと多くあります。この辺も獣医でやってきた畜産の疾病統御のノウハウ、技術を生かしていきたいと思っています。

これは前に提案したものですけど、南海トラフ地震を想定して養殖をどうしていくのか、輸出産業として、国際六次産業として何が問題になるのか、また加工場はどうしたらいいのか、最後に今治の検査センターとしてどのように取り組んでいくかというようなことのプロトコルを作って提案した課題です。

こういった研究を含めて、地域の方々と一緒に取り組んでいきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

妻と作った人形。

娘の修学旅行の写真をもとにしました。

オリジナルの写真です

 

娘のドイツ時代のカーニバルの写真です。大家さんは子ネズミちゃん「モイスヒェン」といっていました。

下の人形は妻の作品です。

先日、妻の作品が創刊700号記念家庭画報大賞の佳作に入りました。

題「何して遊ぼう」です。