石破4条件と新しい獣医学部構想

 

新設の獣医学部の構想には4つの条件と、2つのミッションがついています。

4つの条件は、「①現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、②ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり、かつ、③既存の大学・学部では対応困難な場合には、④近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う」というものです(平成27630日)。

 

2つのミッションは、「人獣共通感染症を始め、家畜・食料等を通じた感染症の発生が国際的に拡大する中、①創薬プロセスにおける多様な実験動物を用いた先端ライフサイエンス研究の推進や、②地域での感染症に係る水際対策など、獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応するため、現在、広域的に獣医系養成大学の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正を、直ちに行う」(平成28119日)。

 

1、獣医教育改革運動と課題

 これまで約半世紀(1971年~現在まで)、獣医学教育の改善・充実のために獣医系大学は、多くの試みを行ってきた。

①就学期間を4年から6年へ変更し、新しいニーズに対応する教育内容の多様化の試み、

②小規模国立大学の再編統合(北大、東大、東北大、九大へ再編統合する案)、

③全国共通のコア・カリキュラムの整備と専門獣医師養成のアドバンスト教育の配置、

④共同獣医学部、共同教育課程の設置、

⑤大規模私立大学の教育充実(水増し入学定員の是正)などである。

しかし、これらの試みは、いずれも成功したとは言えない。

 その結果、新しいニーズに対応できる獣医師の供給不足問題がより深刻化し、獣医師の職域偏在(過剰職域と不足職域)及び地域偏在(獣医師不足の道府県)が起きている。原因は明瞭で獣医学生の定員を固定化したことにある。

 新しいニーズに応えるには、新しい分野の教育を行い、新しい専門獣医師を養成する必要がある。固定した入学生数では、学生も増員できないし教員も増員できない。新しい分野の教育を行う人材の養成もできない。固定した獣医学教育の講座数で水増し定員を取れば、特定の既存分野に学生が集まり、新しい分野は育たない。

 50年以上にわたる定員の固定化は、日本の獣医学教育の改善・充実を阻害した要因の一つである。

 

 この指摘から明らかなように、1970年代から既に今日の獣医学教育の弱点が記載されている。読み直してみても、公衆衛生獣医師、食料の安定供給と食の安全、リスク評価、高度獣医療、ライフサイエンス分野の研究者の養成に関する社会ニーズと獣医学教育の対応の不備が述べられており、その内容は、半世紀たった今もって変わっていない。

 

 

新しい獣医大学(学部)を開設し、既存の獣医学科を廃止し、国際対応の出来る獣医師を養成するアドバンスト専門教育をするという構想であった。10の既存国立大学の獣医学科を廃止し、北大、東北大、東大、九州大の4つの大学院大学の獣医学部として生まれ変わる案であった。72名以上の専任教員を配置し、再編統合した国立大学でスケールメリットを生かし、スクラップ・ビルトにより、新しい分野をカバーした獣医学教育を進めようというのがコンセプトであったが、成功しなかった。大学基準協会案、農学部長会議、その後の文科省の協力者会議でコア・カリキュラムを決めた際の想定される教員数、大学基準協会の第三者評価の基準でも70人以上に近い教員数が想定され続けた。しかし、実現することはなかった。

 

 現在は、獣医学教育改革運動の第3期の延長線上にあるといえる。国立大学獣医学科の護送船団方式を解除した共同学部が成功したか?失敗に終わるか?はまだ分からない。5年間の文部科学省による後押しが、有効に作用したと考えたいが、検証・総括はまだ、行われていない。他方、新獣医学部の設置は、第2期に提案された構想の新しいバージョンと言える。これまでとは違う戦略による、新しい獣医学教育の再編・充実の魁と考えられるのではないだろうか?

 

 

2、4つの条件への回答

 

A:既存の獣医師養成でない構想

国家戦略特区の2つのミッションを ①創薬等イノベーション産業に貢献するライフサイエンス分野の専門獣医師(基礎研究者、医獣連携獣医師)の養成、及び ②感染症統御、食の安全等の公共獣医事に貢献する獣医師を養成することととらえ、獣医学モデル・コア・カリキュラムを基盤とし、これまでにない独自のアドバンスト教育として3分野の科目群(30科目以上)を置き、各分野における専門獣医師を養成する。

そのために、獣医系大学最大の72名の専任教員を配置する。特区により2つのミッションが提示された背景には、以下の事情がある。

新設獣医系大学の設置が認められなかった間に、獣医学領域の研究・教育、社会ニーズは大きく変貌した。50年前にはほとんど存在しなかった伴侶動物医療が、今や卒業生の約半分を占めている。固定化した学生定員のために、ある職域への就職が増加すれば、他の領域は縮小するか、需要に応える供給が出来なくなる。本来であれば新しいニーズに応えるために、新しい分野を設置し、定員数を増加させ、対応する専門獣医師を養成するべきである。

国家戦略特区で新しいニーズがあるといわれる分野は、これまで長年にわたって獣医師の供給不足が続いてきた分野でもある(製薬・創薬研究者、人獣共通感染症・家畜感染症等の研究者、水際対策や危機管理の出来る防疫官、公衆衛生獣医師、産業動物臨床獣医師)。これは獣医師の職域偏在の問題である。3分野の専門獣医師を等分に社会に輩出することで職域偏在は解消される。

新学部におけるアドバンスト教育では、基礎ライフサイエンス、公共獣医事、医獣連携獣医の3分野で専門獣医師を養成する各分野にはほぼ同数の専任講座を置き、4年次より講座に配属させる(各分野ほぼ1:1:1の比率)。①ライフサイエンス分野では、主として、実験動物を用いて基礎研究成果をヒトの治療に繋ぐトランスレーショナル・リサーチ分野で活躍する獣医師を養成するものであり、創薬や医療機器開発等、ライフサイエンス分野で活躍する人材である。②公共獣医事分野では、家畜越境感染症、人獣共通感染症等のリスクが高まる中、国際的な防疫体制や水際対策に関わる知識を有し、さらに食の安全、安心に従事できる人材を養成する。③医獣連携分野で養成する人材は、医学と獣医学は共通である(一つの医学:One Medicine)との認識に立ち、科学的臨床評価に基づき動物とヒトの間で相互に応用できる予防・診断・治療法の確立等、臨床医学の観点から動物とヒトの健康に貢献できる獣医師である。

4年次の初めに各講座に配属し、講座主催のゼミナールを体験する。アドバンスト科目として、5年次の初めに、個々の学生が現場での実務を体験する獣医キャリアスキルアップ研修(2単位)、その後、各分野のアドバンスト実習を受け、ライフサイエンス科目>あるいは<公共獣医事科目>あるいは<臨床獣医科目>から15単位を修得する。アドバンスト科目と同時に研究室で卒業研究を行うことで専門性を高める。さらに、独自に設置したアドバンスト科目は、1つのデーマに対し広い見識を得るため、獣医専任教員がオムニバスで担当する体制で臨むことが本学の大きな特色となっている。

また、国際対応の出来る獣医師を養成するため、ステップアップ教育を設置している。英語教育では、12年次の一般英語のあと、3年次には海外での教育研究経験の豊富な獣医専任教員による専門英語を学修し、4年次からのプレゼミ、卒業研究に繋げる。また、アドバンスト科目は各分野の英語修得の目標をたて、約2割は英語教育を導入する。

  

 

B:ライフサイエンス分野等の新しい分野における獣医師の需要

獣医師が新たに対応すべき分野

①ガットウルグアイラウンド以降、FTA,TPP, EPAに見られるように国際貿易の拡大は、高い関税による自国一次産業の保護政策から、自由貿易物品の拡大、関税撤廃へと動いている。これからは、一次産業を国内調整完結型の生産業から、先進国のように国際輸出産業へと転換する必要がある。そのためには、HACCP等の食の安全、ISO等の品質保証を管理できる専門獣医師が大量に必要となる。また、BSEの例をとるまでもなく、国際的な食品の物流に関しては科学的リスク評価を行う獣医師をはじめ、国際対応の可能な行政獣医師等の需要が極めて大きくなる。

②世界的に増産傾向にあり大型化する養殖漁業、あるいは工場型の養鶏産業、畜産業等にとって、感染症統御は最大の悩みであり、流行病の発生に伴う経済的損失は、風評被害を含め1回の流行で1兆円を上回ることもある。従来の個別治療重視の臨床獣医師から先端的な分子疫学や、メタゲノム解析、抗菌ペプチドや新規ワクチン開発等の予防動物医学に重点を移した研究者や産業動物獣医師の需要が増大する。この分野は獣医学が責任を負わなければならない領域である。

③超高齢社会における加齢性疾患の増加は、伴侶動物の長寿化に伴う加齢性疾患の増加と同時並行状態にある。ヒト用医薬品等の創薬における開発リスクを軽減するため、獣医系大学附属動物病院を「臨床第相試験をヒト試験に先行して実施する機能を持つ機関」と位置づけ、重要性を増す加齢性疾患の予防・治療など創薬研究に利用する。薬獣連携のトランスレーショナル研究分野の発展は創薬イノベーションにとってキーであり、創薬分野の第一線の重鎮等から、獣医師に厚いエールが送られており、ニーズの高さを物語っている。この分野では、ライフサイエンス基礎獣医研究者のみならず、創薬の臨床評価の出来る医獣連携獣医師の養成が必須である。

④エボラ出血熱,SARS, MERS, 高病原性鳥インフルエンザ等、新興感染症は、ほとんど が人獣共通感染症である。ヒトで流行する前に動物間での病原体の生態を明らかにして防御体制を敷くのは獣医師の責務であり、国際動物保健機関(OIE)も各国に家畜感染症のみならず人獣共通感染症の届出を求めている。動物と人の健康は一つ(One Health)という立場で医学と獣医学の連携研究が国際的にも進んでおり、この分野の専門獣医師の需要が高くなっている。

また、これまでの水増し入学定員を是正し定員(930人)が厳守されると、これまでの入学者数が1割以上減少する。他方、獣医師の供給不足問題を抱える職域が多いという課題を持つ現状がある。現在の活動獣医師数39千人を維持する場合でも入学者数で約130名の補充(獣医師試験合格者数で約110名の増加)が必要となる。加えて上記の新しい獣医師を必要とする分野での需要に応えるためには、高度なスキルをもった専門獣医師を養成するための専任教員を確保し、充実したアドバンスト教育プログラムを配置し、卒業生を新しい分野の中核として活躍させる必要がある。

 

 

C: 既存の大学・学部では対応が困難となる理由

これまで獣医学教育では主に家畜衛生や伴侶動物への高度獣医療技術、獣医療に貢献できる研究者等の人材の育成を行ってきた。しかし、前述したように①近年、多発する動物由来新興感染症の統御、②家畜の国際感染症の防疫、③拡大する食品貿易の安全確保、④食料の安定供給、⑤畜水産品の輸出促進、⑥バイオテロ対応、⑦医薬品、医療機器開発への疾患動物を利用した研究など、新しい分野に対応できる獣医師が国内外で求められている。わが国では、2000年以降、「感染症法」に人獣共通感染症を組み込み、「食品安全基本法」にリスク評価を組み込んだ。これらは、主にレギュラトリーサイエンス等に包括される領域で、科学的知見と行政措置の橋渡しをする科学であり、危機管理や安全確保のための規制措置や規制の国際調和に対応できる獣医師を育てることが必要となった。

しかし、我が国の獣医学教育は6年制に変更されたのちも、従来の獣医学教育規模で推移し、国立大学であれば入学定員3040人、教員が3040人弱と非常に小規模である。そのため、新規に導入されたコア・カリキュラムの51科目、19の実習を行うだけで手一杯である。過去に国立獣医系大学の学科を統合再編し、スケールメリットを生かした新しい学部教育を目指したが実現できなかった。新しい獣医学部の教育は、スケールメリットを生かし、統一的基礎獣医科目の他に、新しいニーズに応える実学教育などアドバンスト教育のようなプログラムを組む構想もあった。

現在は、獣医学教育の改善・充実として、共同学部や共同教育課程が試みられている。自分がかかわった構想であり、否定するものではないし、努力は評価する。しかし、統合しただけで再編せずに既存の重複する基礎分野が共同しても、新しい分野の人材育成は困難であるといわざるを得ない。

多くの私立大学は、学生の要望に合わせて小動物の臨床医を育成することを目指した。大規模の私立大学では、5060名の教員に対し、定員オーバーの140150名の学生を入学させ教育していた。この比率では、効果的な実習や実学教育を実施するのは非常に難しく、定員厳守の方針が文科省から示された。また、小動物臨床獣医学を重視する立場から、ライフサイエンス分野等の研究者育成、国際対応のできる公共獣医師の育成などに取り組む余裕はないのが実情である。

文科省の「獣医学教育改善・充実に関する調査研究協力者会議」で、それまでの不統一で偏ったカリキュラムを分析・評価し、是正するためにモデル・コア・カリキュラムを設定した(2010年)。その際、修学期間の約2/3(14年次)をコア・カリキュラムにあて、残りの約1/356年次)を各大学の独自のアドバンスト教育科目などに充てることを了承した。そして、そのために必要な専任教員数として、約72名を想定したが、これまで、どの大学もこれを実現することが出来なかった。

今回、この構想を実現するため、新設獣医学部では、コア・カリキュラム(51科目、19実習)及び、これに関連する生産農学系科目などを追加したうえで、アドバンスト教育科目を設定した。ライフサイエンス等の分野で活躍する獣医師、国際対応や水際対策など危機管理の出来る公共獣医事をこなす公務員獣医師、高度なスキルを持つ臨床獣医師の養成を目指し、従来の獣医学分野にとらわれず広い分野の教員を招聘し、十分な教員数を確保し、適正な教員・学生比で教育することとした。

 

 

D:近年の獣医師の需給の動向

長らく、獣医師の職域偏在の解消が謳われてきたが解決できなかった。現在の活動獣医師数を維持するには、毎年の補充は農水省が確保を考えている分野の約750名強+職業自由選択110名強+厚労省や創薬分野のニーズ約280名強で1140名を超える。獣医師合格者数約1,000人では不足し、不足分の約140名強は、公衆衛生、産業動物獣医師や創薬などライフサイエンス分野の人材不足となっている。産業動物獣医師の高齢化の問題、一部の政令都市や人口富裕県を除く公衆衛生獣医師の不足問題、創薬などライスサイエンス分野の獣医師の不足は解消されず、逼迫した需要状況である。新しい獣医学教育を受けた専門獣医師をバランスのとれた比率(ライフサイエンス分野1:公共獣医事分野1:医獣連携獣医師1)で社会に送り出す教育体制と教育プログラムが実行できれば、この問題の解決の一助となる。

 

また、獣医師の地域偏在に関しては、前述した文科省の協力者会議の調査から、16獣医系大学における学生の出身地域と就職地域には高い相関がみられる。従って、不足地域から学生を集める方策が取れれば、この問題を解決することも可能である。現在、私立の獣医系大学はすべて東日本にあり、西日本には獣医系私立大学は1校も存在しない。四国枠のように、獣医師の不足する西日本を中心に学生を集め、獣医師を養成すれば、地域偏在の問題を解決する1つの方策になると考えられる。

 

 

 よく出される6つの質問(石破4条件等に関連するものが多い)に答えを書きました。

 ここに掲載しておきます。

 

1、岡山理科大学がなぜ、愛媛県今治市に獣医学部を作るのか?

今治市は若者の減少阻止・地域の活性化を視野に、長年、構造改革・国家戦略特区で獣医学部の設置を求めていた。岡山理科大学は、その構想を支援するため学術的立場から助言してきた。岡山理科大学は6学部を有する中四国最大規模の私立大学であり、学際・応用研究と社会の即戦力として活躍する人材養成に取り組んできた。生物系分野には、理学部生物化学科、動物学科、生物地球学部を、医療系分野には臨床生命科学科、工学部生命医療工学科を設置し、生命科学、医学、生物学を学修し、持続可能な社会の構築と人の健康と福祉に貢献する多数の人材を輩出している。

四国には一校も獣医系大学が存在せず、加戸前愛媛県知事が述べたように、慢性的に獣医師が不足している。西日本の獣医系大学は国公立5校、定員数は165名であり、東日本の国立6校、私立5校の765名に比べると著しく少ない。新学部は西日本で初めての私立獣医学部である。今治市は、中四国・九州の地理上の中心に位置し、また、獣医師養成伝統の地でもある(約130年前に県立獣医系学校設置)。 

 感染症統御の観点からは、感染拡大を防ぐには初動対応が大切であり、そのためには、ゾーニング(地域封じ込め)が重要である。四国は海峡により本州、九州と離れていることから、感染症の侵入防止、封じ込めに適しており、獣医学部を設置することにより、感染症対策など動物危機管理に関する学術的支援の拠点が形成される。

2、52年振りに国家戦略特区で設立された理由は?

経済成長に必要なイノベーションの振興や地域活性化等を目的とする国家戦略特区の目標は規制緩和である。従って、岩盤規制の根拠の説明ができない場合には、規制を解くことになる。規制緩和の説明責任を申請者に問うた構造改革特区と岩盤規制の根拠説明を文科省に問うた国家戦略特区の戦略の違いにより、52年振りに獣医学部が新設されることとなった。新潟県から出された新設獣医系大学の提案から約1年間、特区ワーキンググループは文部科学省に、規制の根拠の正当性を説明するように議論してきたが、明確な根拠が示されなかった。そのため規制を解除することを決め、愛媛県今治市の提案を検討することになった。

 国家戦略特区から出されたミッションは、創薬等で動物を使用するライフサイエンス研究者と臨床獣医師、及び感染症防御・危機管理・国際対応の出来る獣医師の養成である。また、社会的ニーズの高い産業動物獣医師や公衆衛生獣医師の養成、獣医師の職域偏在、地域偏在の解消も重要な課題である。こうした問題に応えるために新しい獣医学部が設立されることとなった。

3、既存の獣医学部との学びの違いは?

拡大する獣医職域に対応する人材を養成するため、新設獣医学部に「獣医学科」と「獣医保健看護学科」を置き、「専門獣医師Veterinary Professional」とそのパートナーである「獣医関連専門家Veterinary Paraprofessional (VPP)」を養成する。獣医関連専門家、VPPは、国際動物保健機関(OIE)が提唱する新しい専門家である。両者は協力して新しい獣医事の世界を創る。

 そのため、卒業後に獣医師とVPPが活躍する3分野を明示し、獣医系大学が共通して行うコアカリキュラム(基盤教育)の上に3分野の上級教育としてアドバンスト科目群を設定した。専門獣医師の3分野の科目はライフサイエンス科目、国際獣医事科目、臨床獣医科目であり、VPP3分野の科目は実験動物科目、公衆衛生科目、高度獣医療看護科目である。充実した教育ができるように、世代間のバランスの取れた年齢構成で、国内最大級の専任教員数を配置した。医学、薬学、理学部や海外で活躍していた教員等を含め獣医73名、獣医保健看護9名、教養5名。教育研究業績を重視した教員任用を行った。

4、新しい獣医保健看護学科では何を学ぶのか?

獣医保健看護学科では、獣医看護学をはじめとする基礎科目を獣医学科と共に学び、その後アドバンスト科目を学修させ、獣医師と連携できる実践能力を持つ獣医関連専門家(VPP)を養成する。獣医保健看護学科にとって獣医学科の併設は、大きなアドバンテージである。獣医学科と獣医保健看護学科の同時開設と導入教育で行われる両学科共通教育は国内初である。60人の学生を獣医学部80人以上の教員が面倒を見る獣医学科と一体教育、高度で最新の獣医学教育病院、国内最大級の規模の実験動物センターを有し、共同研究型のオープンラボでの卒業研究ができる。

3年次後半から始まるアドバンスト教育では、3分野のうち、実験動物科目群を選択した者は、「遺伝子工学」「獣医病態モデル学」などを学修し、実験動物技術者1級、実験動物管理者等を目指す。公衆衛生科目群を選択した者は、「人工授精学」「バイオセーフティ学」などを学修し、家畜人工授精師、食品衛生管理者・監視員、公務員等を目指す。高度獣医療看護科目を選択した者は、「チーム獣医療学」「高齢動物看護学」などを学修し、将来の職場環境となるチーム獣医療を学生時代から体験し、動物看護師等を目指す。

VPPとして、国家公務員、地方公務員を目指す学生には、公務員キャリア指導教員を置き、充実したサポート体制を整えている。

5、新キャンパスの特徴は?

 獣医学部は今治駅から約2㎞のいこいの丘の上に位置している。獣医学部棟からは眼下に広がる今治市としまなみ海道が見渡せる。駅からはイオンモールを経由してシャトルバスの運行がある。

入口に近い管理棟には、吹き抜けの図書館があり、ラーニングコモンズ、カフェテリア、食堂などが入っている。講義実習棟は、1階が水産研究もできる実験動物センター、2階からは全室フリーWifi、アクティブラーニング室、オープンラボのフロアーなどがある。管理棟から講義実習棟へはウッドデッキで繋がり、語らいの広場が用意されている。講義実習棟から獣医学教育病院へは空中廊下と外付け階段で繋がっている。病院にはMRI, CT、癌治療のためのリニアックなどが設置され、獣医情報の収集・発信、教育資源作成のための国際獣医教育センターが配置されている。道路を挟んで、体育館、サークル活動のクラブハウス、テニスコート、運動場がある。

  教育研究充実のため、愛媛大学とは包括協定を結んでおり、新設学部の近くには今治市と連携して種の保存に取り組む野間馬牧場がある。また、学生の住居については今治市不動産業界の協力を得て確保に努めている。

6、両学科の就職、進路先は?

 獣医学科・ライフサイエンス分野では動物個体の特性を生かした基礎生命科学の技能を修得する。ニーズの高い創薬研究では基礎研究の成果を動物個体で検証し、トランスレーショナル研究分野で活躍できる研究者を養成する。主な就職先は、製薬企業、生物学的製剤、医療機材開発企業、動物用医薬品企業、動物実験受託研究機関、感染症や生命科学研究所などである。

公共獣医事分野では、家畜感染症の水際対応や蔓延防止、人獣共通感染症の防御や動物由来食品の安定供給、食の安全を学修し、国際的な視野で危機管理対応に貢献できる専門獣医師を養成する。国家公務員(獣医行政官)、地方衛生環境研究所、保健所、動物愛護センター、と畜場、食肉検査センターなど(地方公務員)、NOSAI, 農協、家畜保健衛生所や他の研究機関などが就職先である。

医獣連携獣医療分野では、高齢のヒトと伴侶動物の疾病構造が類似していることに着目し、動物の臨床的知見とヒト疾患の特性を理解し、科学的臨床評価に基づき動物とヒトの相互に応用できる予防・診断・治療法の確立、医療技術や医療機器等の開発に貢献できる人材を養成する。就職先は1.5次、2次病院の専門医、医薬品・医療機器開発等のイノベーション企業、研究機関の動物実験施設の専門医(実験動物の獣医学的ケア)等である。

獣医保健看護学科・ライフサイエンス分野では、研究で重要な役割を担う実験動物の取扱いや管理等の知識と技能を修得し、動物の病態を理解し、研究基盤を支える人材を養成する。大学医学部等の附属実験動物センター、医科学研究機関、製薬企業、実験動物繁殖企業、医薬品開発受託機関、医療機器開発企業、実験動物関連機材製造販売企業等が就職先である。

 公共獣医事分野では、産業動物看護、疾病管理、家畜越境感染症、人獣共通感染症対策に関する知識と技能を修得し、メガファームの生産指導、産業動物管理、食の安全を担う人材を養成する。主な就職先は、動物検疫所、家畜改良センター、農林水産消費安全センター、厚生労働省食品衛生監視員、動物愛護行政、畜水産振興等に関連する公務員、畜産技術職、食品関連企業である。

 獣医看護分野では、獣医師と連携・補完し合うチーム獣医療を実践し、獣医療の現場において予防・診断・治療をサポートできる実践能力の高い人材を養成する。動物病院や高度獣医療に携わる二次動物病院、ペット保険業、動物臨床検査業、ペット飼料企業、獣医関連出版企業等が就職先である。

妻と作った人形。

娘の修学旅行の写真をもとにしました。

妻と作った人形。

娘の修学旅行の写真をもとにしました。

オリジナルの写真です

 

娘のドイツ時代のカーニバルの写真です。大家さんは子ネズミちゃん「モイスヒェン」といっていました。

下の人形は妻の作品です。

先日、妻の作品が創刊700号記念家庭画報大賞の佳作に入りました。

題「何して遊ぼう」です。

 

妻が、稽古に通い、粘土で作った作品です。昨年、東京フォーラムで、他の生徒さんと一緒に展示されました、「仙人草」

(水やり不要です)。

妻の人形作品です。

ドイツ時代の香代の幼稚園の友達です

ある夏のスナップです。妻の父母、娘、甥たちの集合写真から作りました。