今治キャンパスの獣医学部長としては、おそらく最後の情報発信になると思います。設置後6年目、完成年次(2023年度)に臨んで立てた目標と重点事項、および2023年度重点事項の達成状況と今後の方針を書きました。外務評価委員のためのスライドとYou tubeは別途にあります。今治キャンパス紹介1を見てください。https://youtu.be/nnvrjrHzrsQ

 

2023年度自己点検評価のための<重点事項及び趣旨>

重点事項2023年度、獣医学部は完成年次を迎える。結果次第で、半世紀ぶりに新設した獣医学部が成功であったか、間違っていたかを問われることを意味する。本学部は、獣医学教育の新しい拠点として、世界に冠たる研究組織、感染症統御の支援、創薬等の新しい産業の萌芽、新しい獣医学の教育・研究体制の確立、国内外の獣医ニーズに応える人材の養成等を「国家のミッション」として提示された。アドバンスト教育科目の新設、オープンラボシステム、ブランディングを目指した種々のセンター、準正課教育、社会貢献体制等、従来の獣医系大学には無い要素を導入した。その成果は、可視的には獣医師国家試験の合格率と卒業生の就職先が、長年の課題であった獣医師の職域偏在を解消するものであるかどうかで判断される。既に、獣医保健看護学科では、卒業生はディプロマポリシーに掲げたように、獣医関連専門家(VPP)として、高い率で各種資格試験に合格し、ライフサイエンス、公衆衛生、動物看護の3分野に、ほぼ1:1:1の比率で職を得ている。

2024年度は、ファウンダーの教授陣が去り、新しい体制で新設大学院をはじめ獣医学部の教育・研究を推進することになる。十分とは言えないが、既に完成年度後の準備のための布石は敷いてきた。今年度の重点事項は、1,獣医師国家試験の高い合格率を得ること。愛玩動物看護師の国家試験合格率を維持すること。2,職域偏在を解消する職分野に卒業生を送り出すこと、3,教育研究体制の継承とDX教育等新しい教育への改革、4,大学院運営等の基盤を整備することである。

重点事項の趣旨

1.獣医師国家試験の高い合格率を得ること。56年次生のためのアドバンスト教育科目は設定したが、国家試験のための教育カリキュラムは組んでいなかった。2023年度は、国家試験教育のためのカリキュラムを組み、システムを確立する。また、各学年で出る留年生に対する補修プログラムを実施する。

2.獣医師の職域偏在を解消する職分野に卒業生を送り出す。1年次からの動物関連キャリア概論をはじめとするキャリア教育、スキルアッププログラムを実施してきた。基盤教育(1期、2期)を通じて、国内外の獣医事に対する理解を向上させるようなプログラムを追加する。

3.獣医学部教育研究体制の継承とDX教育等新しい教育への改革を進める。2024年度よりクォーター制からセメスター制への変更や必要により両者を混ぜたハイブリッド型のカリキュラムを組む必要がある。両学科共通の基盤教育(第1期導入教育、第2期専門職域教育)を含め、共通科目の充実のため、獣医学科・獣医保健看護学科の教育体制の改善を図る。また、メガデータのDX教育、VODや反転授業、VRを用いた新しい教育などを模索し、発展させる。異分野との共同研究、市民講座や社会貢献の一層の進展を図る。

 

4.大学院設置に向けて準備を整える。教育病院では、臨床獣医師および動物看護師を増員し診療頭数の増加を図るとともに、運営の基盤を整備する。また、臨床獣医師や動物看護師の研修、情報発信、シンポジウムなどをさらに充実させる。各種センターは、互いに協力しブランディングのための戦略を立てる。

 

 

<重点事項の達成状況、2024229日> 

2023年度の重点事項は、以下の4点であった。

1.    国家試験を通過するための体制の確立1期生は、卒業試験(総合演習II:秋学期)のプレテスト(6年生春)の成績が悪かった。学生・教員ともに気を引き締めて国家試験対策委員を中心に総合演習IIにおける全分野の集中講義、国家試験過去問説明、3回にわたる総合演習II試験を実施した。教職員、学生ともに初めての経験であったので、情報が得られにくく充分だったとは言えない。1期生の経験を生かし、体制を整えていく必要がある(B)。                                          

   留年生のためのリメディアル教育体制の確立。獣医学教育支援機構が行う4年生の獣医系全大学の共用試験を受けられなかった4年次留年生を中心に、休学中の登校学習が可能になる制度を立ち上げた。しかし、初年度のため、また学生個々人で苦手科目に多様性があるため共通のリメディアル教育プログラムの作成ができなかった。次年度以降の課題が残った(B)。       

2.    職域偏在を解消するための教育(アドバンスト科目と第II期基盤教育)。適正な大学人となるための教育(第I期基盤教育)、及び有能な社会人・専門家となるための教育(第II期基盤教育)として、分野別高度専門科目、16大学で単位化されなかった分野別アドバンスト科目を設定し実行した。その結果獣医学部(獣医学科と獣医保健看護学科)で著しい不足が指摘されている公共獣医事分野(国家公務員、地方公務員、大動物臨床のNOSAI, JRAなど)に30名を超す内定者を出すことが出来た。獣医師と獣医関連専門家を養成する教育の基盤の確立と成果が得られたと考えられる(A)。                  

3.    DX教育などの新しい教育への改革自由度のないコアカリキュラムにDX教育を導入することは比較的困難である。しかし、コアカリキュラムのない分野別のアドバンスト科目や準正課教育科目では、AIを利用する最先端のツールや技術、研究の紹介、e-learningactive learningがやりやすいことが明らかになった。こうした利点を生かして、より充実したDX教育を進める必要がある(B)。        

4.    学部運営の展開。大学院設置、病院運営の促進、今治キャンパスブランディング、地域貢献、獣医関連機関・海外の大学との連携協定など。大学院(修士課程2年、博士課程4年)の設置が承認され、2024からスタートする(A)。専任教員以外の獣医学部教育病院を支える人材の確保(看護師、研修医、獣医研修員、大学院生)のためのルールの承認を得ることが出来た。病院運営の促進が期待される(B)。今治キャンパスのブランディングに関しては、国際認証を得た実験動物センター以外のセンターは、外部への情報発信力が乏しい傾向があり、新しい戦略が必要である(C)。市民公開講座はポストコロナにより活動を再開し、今治市の支援を受ける準正課科目も順調に成果を上げている(A)。中四国の獣医師会、NOSAIおよび県との連携協定、海外の大学との協力覚書を進めることが出来た(A)。

<達成状況の点検・評価及び次年度以後への展望>今治キャンパスは、第1期を終える。起承転結でいえば「起」を終えた。第2期(次の6年)は「承」とともに、「転」への足がかりが必要である。「転」は、視点を国内でなく、国際獣医教育拠点を目指すことである。「結」は、獣医系大学の再編統合という、日本の獣医大学の長い長い、本質的課題の解決方法を本キャンパスがモデルとして提示することである。

 

 2023年5月23日、岡山理科大学獣医学部中村進一先生が公益財団法人山陽放送学術文化・スポーツ振興財団の学術奨励賞を受賞されました。おめでとうございます。研究テーマは、「鶏の生殖器由来腫瘍の発生起源に関する検討:ヒトの卵巣がんモデルとなる可能性の模索」です。頑張ってください。

 2023年5月19日、日本私立学校振興・共済事業団の若手・女性研究者奨励を受けました。

おめでとうございます。研究課題は、「天然記念物(岩国のシロヘビ)保全のための病理学的解析」です。野生動物の保全は、獣医の主要な活動の1つになっています。今治キャンパスにも、今回新しく準正課教育科目として、「愛媛県・今治市の絶滅危惧種生物の保全」教育・研究がスタートします。新入生の参加が待たれています。

 

  今治キャンパス獣医保健看護学科では、国際動物保健機関(WOAH, OIE)が求めた獣医関連専門家(VPP)の養成に応えるべく人材育成を行ってきました。早いもので1,2期生が卒業を迎えました。開設3年目からは定員を充足しているので60~70人が入学していますが、1,2年目は少数精鋭でした。2年分の結果が出たので、纏めてみました。丁度60人分くらいになりました。

 One World, One Health, One Medicineのキャッチフレーズで、3分野に沿った人材養成を考えてきましたが、ほぼ予定通りに育ってくれたと思います。社会に出てからの活躍を期待しています。

 2022年9月22日と26日に、1年生から5年生まで、各学年ごとに秋学期のスタート時点でのオリエンテーションを行いました。各学年のゴールを目指して、現在の立場と、ゴール及びゴールに到達するまでのプロセスを説明しました。今回の檻エンテーションは、2022年4月に新1年生から新5年生までに行ったオリエンテーション(前期)とペアになっています。オリエンテーションの記録はYou Tubeにあります。冬休み、苦しくなったらもう一度見てください。

1年生 https://youtu.be/djkXl09vXrA

2年生 https://youtu.be/Tu_licxCYVo

3年生 https://youtu.be/SSwx_WV0LRg

4年生 https://youtu.be/9Vi4VjsWAOQ

5年生 https://youtu.be/kHDjclIovwA

 2022年コロナの流行にめげずオープンキャンパスを対面で開きました。講義、演習、実習も、コロナ禍ですが対面で行っています。そろそろとwith CORONAへの適応を模索しつつあります。長かったですね。オミクロンの謎はyou TubeとHPに載せました。

https://youtu.be/FQzodsHAgG0

 以下のYou Tubeは、2022年度の4月に新1年生~新5年生に、各学年の授業、学習の仕方、目標などについて説明したものです。また、合格者のために作ったYou Tubeも加えておきました。今治キャンパスの学生諸君、夏休み中に、リフレッシュする意味で、もう一度見ておいてください。

 

2022年度教育・進路懇談会があります。冒頭のあいさつです。

https://youtu.be/9fsmPcYRVNk

獣医学部の3先生が、岡山理科大学の学長特別賞を受賞しました。おめでとうございます。

 COVID-19 の流行が始まった、2020年3月から始めた症候群サーベイランス、その後の能動的サーベイランスですが、教職員、学生さんのワクチン接種が進んだこと、流行株がオミクロンに代わり、相対的に重症化が減少したこと、with Coronaの生活様式が定着したこと、サーベイランスによりクラスター発生を回避できたこと等が明らかになってきました。春休み後のオミクロン株による陽性例(1桁)を除き、直近の感染例はほとんどなくなっています。

 このため、教授会で紹介したように、Mylogを使ったアクティブ・サーベイランス(健康チェック)および居場所のアンケート調査を5月21日(土)から休止することとしました。新型コロナウイルスに感染したとき、濃厚接触者になったときあるいは体調不良のときはいつでもメールまたは電話にて連絡してください。長い間の協力ありがとうございました。                  感染症部会より

 岡山理科大学は10年間の長期将来計画を立てています。今治キャンパスは新設なので途中からの参加でした。5年が経過し、後半(2022~2026年)の中期計画案がきまりました。獣医学部の2026までの中期計画の骨子と2022年度の単年度計画の重点項目を決めました。

 

 

岡山理科大学今治キャンパス 教学・学生支援課 学生係 2022/04/11 

食堂営業時間内での座席利用について
 いつも本学における新型コロナウイルス感染症対策にご協力いただきありがとうございます。新型コロナウイルス感染症において最も危惧される状況が、食堂内での会食による飛沫感染となります。現在、食堂は利用者同士のソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)を守るため座席数を定員(452席)の50%まで制限していますので、昼休憩の時間帯は食堂が混雑することが予想されます。感染予防の徹底と円滑な食堂利用のため、
食堂営業時間内の11:30~14:00の間は、以下のご協力をお願いします。

1黙食の推奨。食事中の会話は飛沫感染リスクが高まります。マスクを着用しない状態での会話はお控えください。

2スピードシート(15分間)。短時間で食事ができる方は、譲り合いの席として用意しているスピードシート(15分間)をご利用ください。なお、その他の席につきましても譲り合いのご協力をお願いします。

3自習の禁止。円滑な食堂利用のため、この時間帯については、食堂での自習を禁止します。自習をする学生はラーニングコモンズ、スチューデント・コモンズや空いている学生室をご利用ください。

4食券の事前購入。券売機での混雑が見受けられます。当日の8時から食券を購入することができますので、昼食時の券売機利用の分散にご協力ください。※注意、購入した食券の有効期限は当日限りとなります。

 

 オミクロンの流行が止まりませんが、2022年2月26日に学術会議のワイルドライフサイエンス分科会の主催でシンポジウムが開催されます。生物多様性から見たワイルドライフサイエンスがデーマです。1番手として「生物多様性とヒト」の講演をします。ゲノムから見た進化論をベースに生物多様性と感染症とヒトについて話すという難しいテーマをもらいました。シンポジウムの予行としてYou Tubeを作りました。半分くらいに縮めないとオーバーになってしまいました。https://youtu.be/DVXLz6hWn2A

その後、このテーマは、芸術・社会・科学懇談会という研究会で「ゲノムと進化論」2回と「ヒトへの進化」1回という、都合6時間を超える講演になりました。後ろの方の、芸術社会科学の項目にスライド共にYou tubeのアドレスが載っています。

人類の進化 https://youtu.be/0pJMdQRFEbg

2023年3月5日に芸術、社会、科学懇談会で、2回に亘った進化論の続きとして、人類の進化に特化して講演を依頼されました。2時間の講演、30分を越す質疑で終えました。せっかくなので、講演記録としてVODを作成し、you tubeに載せることにしました。やはり2時間を超す長さになりましたが、前期猿人、後期猿人、原人の部分は、これまでの大学講義でも、あまり正確に理解していなかったので勉強になりました。

ゲノムと進化 https://youtu.be/11jfpxSNr7w

2022年10月16日科学/芸術/社会懇談会で「ゲノムから見た進化」の第1回の講義をしました。モネラ界と単細胞真核生物の話と質疑で2時間が終わってしまいました。次回は単純多細胞生物の5億年とカンブリカ紀以後の5億年話をしたいと思います。12月に後半の講義を終えたものをまとめてVODにしなおしました。3時間かかりました(175分)。

 2022年の年明けから、オミクロン株の流行拡大が明瞭になりました。今治キャンパスでも成人式参加例から始まり、数人の陽性者と比較的多くの濃厚接触者が出ました。そのため、秋2学期で遂行してきた、対面授業を急遽1月17日から全面遠隔授業に変えました。学生さん、教職員の皆さんには連絡がギリギリになってすみませんでした。

 来週からの授業に関して学生さんから質問がありました。感染症部会、学生・教務関係の委員長と検討し以下のような方針としました。期末試験に関しては、遠隔方式にするか?対面方式が必要か?現在、先生方にアンケート調査をしています。

 質問ありがとう。来週は、講義は原則として遠隔授業、実習については、VOD、ZOOMなどで出来ないものは、分散対面でやる方針です。オミクロン株は感染力が強いので、陽性者がでると、沢山の濃厚接触者が出ます。しかし、全員が陽性になるのではありません。また潜伏期が3日程度と早いこと、ウイルスの増殖が上部気道なので抗原検出、PCR反応は、検出が速く、精度が高くなりました。これまでのケースでは、2次感染までで、3次感染は防げているようです。陰性であれば、国も保健所も自宅待機期間が10日になり、キャンパスもこれに合わせようと思います。オミクロン株への適正な対応が始まりつつあると思います。

 

 濃厚接触者の自宅待機期間を10日間にしようと思います。それに関して質問がありましたので以下のように回答しました。

オミクロン株と濃厚接触者の自宅待機期間について

新規の感染は、既にオミクロン株が主流です。厚労省および保健所がオミクロン株に対して濃厚接触者の自宅待機期間を10日間にした理由は、①これまでの武漢株、およびα、β、γ、δ株に比べ、下部気道でのウイルス増殖(肺炎の併発)能力が低いこと、②上部気道においても機能障害(味覚異常、嗅覚異常)を起こすような細胞破壊性が弱いこと、③細胞培養においても融合活性がなく、単個細胞で増殖が起こること、などの特性について国内および国際的な科学的エビデンスを専門家が評価したためでしょう。

他方、上部気道で増殖性を増したオミクロン株は、従来の株よりも潜伏期間が短く、顕性感染、不顕性感染を問わず、暴露後、感染が成立すれば、平均3日くらいからウイルスを排出し、その後長くても平均7日間以内には、他の人に感染する量のウイルスは排出しないと考えられます。従って陽性者から暴露された日から、潜伏期間の3日、ウイルス排出の終わる7日を加えた10日間を待機期間に定めたと思います。

オミクロン株は感染力が強いので、従来のケースよりも保健所による濃厚接触者の範囲が広くとられています。候補者数が大きいので、実習のような分散対面授業が必要な科目では、2週間自宅待機の学生が多くなると、期間内に授業が終えられなくなり、補講の対面授業も難しくなります。保健所の対応が早いので、これまでのケースでは学校内での3次感染は防げています。PCR、抗原検査で陰性であれば、10日間の自宅待機で大丈夫と思います。

 *愛媛県では、新型コロナの濃厚接触者について、国へ知事会等からでも要請しておりました。 その結果、この待機期間が14日(間)から10日間に短縮される方針が示されました。

*オミクロン株はγとδ株の変異に加え、一気にS蛋白質に総数30か所の変異が入った株です

 

「今治キャンパス紹介1」の容量が一杯になったので、2を開設しました。

 

全国的な新規感染者数の減少、愛媛県及び今治市での新規感染者の減少、ワクチン2回接種済み教職員・学生数の増加、コロナ蔓延防止対応の定着などから、秋②学期からソフトランディングに方向を変えようと思います。ご協力ください。 2021年11月10日

 

 2021年9月21日秋学期が始まりオリエンテーションがありました。夏休みが明け、無事に分散対面方式で1年生から4年生まで、丸1日かけて4回に分けて行いました。その時のスライドとYou Tube を載せておきます。内容は、1,2年生と3,4年生にわけました。

1,2年生オリエンテーション 

https://www.youtube.com/watch?v=pX5RNsZTAOQ

 新型コロナウイルス流行の第1波から第5波までのR0の変動に関する考え方を紹介しました。少しずつ考え方が進化しているように思います。

https://www.youtube.com/watch?v=4_VxsJckF8g

獣医系大学に生体を用いた実習の在り方について意見を述べるように要請がありました。重要なことなので、獣医学部のホームページに以下のような考えを述べておきました。

岡山理科大学獣医学部における生体を利用した実習とその教育効果について

                                                    令和3年8月 岡山理科大学獣医学部長 吉川泰弘

(1)岡山理科大学獣医学部の人材養成の理念と目的

背景:自然界に存在する生命の多様性と、多様な生命の相互作用、環境の変化と生命の進化、適応、変遷を理解し、その中でヒトがどのように生き、何をすべきかを考えるのが生命科学(「One World」、ライスサイエンス)であると考える。

その中で、近年注目されている、いわゆる先端ライフサイエンス研究は、例えば、革新的な創薬、医療機器開発分野等へ貢献する研究であり、ヒトの健康と福祉の増進や我が国の経済成長を支える重要な研究分野といえる。そこでは、基礎研究から応用研究へ、動物のデータからヒトのデータへ外挿するという研究プロセスにおいて、適切な動物実験を行い、動物種の特性をふまえ有効性とリスクを慎重に分析する能力が必要とされる。

また、社会のグローバル化の進展により、国境を越える人や物資の移動がますます盛んになり、家畜の越境感染症、人獣共通感染症、新興再興感染症が世界的に拡大するリスクが高まっている。今やヒトの健康は、家畜や野生動物の健康、自然の健全性と深く関連しており、「One Health」という考え方が国際的に定着しつつある。こうした感染症に対する有効な治療薬や予防ワクチンなどの開発のため、その安全性、有効性を評価するには、適切な動物実験が必要とされる。従って、動物の健康や食の安全の確保に留まらず、ヒトの健康を保障するためにも国際的な防疫体制の強化は重要な問題となっており、これらの課題に対応できる人材の養成が喫緊の課題である。

さらに、超高齢社会を迎え、生活習慣や加齢に伴う疾患が増加し、癌、認知症、運動機能低下症候群などが問題となるとともに、自閉症、多動症、自己免疫病、各種アレルギー、アトピーといった原因の明確でない疾病も著しく増加している。しかし、これらの疾患の多くは、著しく寿命の延びた犬や猫にも見られる疾患であることが明らかになってきている。ヒトと動物に共通するこれらの疾患の予防医療や医薬品・医療技術の開発を担う人材の養成もまた、獣医学に期待されている。

動物とヒトを結び付ける獣医師および獣医関連専門家(VPP)、複雑な生命現象を統合的に把握する力を身につけている獣医師および獣医関連専門家へのニーズは、高度化するライフサイエンス分野において、さらに高まっていくと思われる。本獣医学部は、これらの人材を養成するため、獣医学科と獣医保健看護学科を置いた。

人材養成の理念と目的これらの背景から、本学部においては、ライフサイエンス研究分野において重要な実験動物の取扱や管理に従事できる技術者・管理者、研究者、人獣共通感染症の防御や産業動物の生産管理等、あるいは食の安全・安心に関し適確に対応できる公共獣医事を担う人材、医学と連携して「One medicine」を目指す専門家、すなわち獣医師(veterinarian)と獣医関連専門家(veterinary para-professionals)を養成する。具体的には、ライフサイエンス分野、公共獣医事分野、医獣連携獣医分野の3分野の人材養成を目指している。

(2)人材養成において生体を利用した実習の必要性とその教育効果

 大学において実施される実習の意義は以下の通りと考える。

     獣医学の理解をより深めるために実地に検証・確認する

     観察や測定の結果を処理する方法を学び、獣医科学的な思考力を涵養する

     受動的ではなく能動的に学問に触れ学究的態度を学ぶ

     実際の診療の現場や患畜との関わりを通じて基本的診療技能等を学ぶ

 これらの意義の中で、本学部の「3分野の人材養成の理念と目的」に沿って、生体を用いて行う実習の意義と目的を以下の様に考えている。

     ライフサイエンス分野: 基礎研究の成果をヒトの治療につなげ、創薬研究等において国際競争力の向上に貢献できる人材を養成する。特に、実験動物を用いた基礎研究の成果をヒトの治療に繋げる高度な実践力を有する人材養成を推進する。このためには、マウス・ラット等の実験動物(生体)を用いた実習は不可欠である。

     公共獣医事分野: 国際的な視野を有し、家畜の越境感染症や人獣共通感染症、新興再興感染症の対策、食料確保及び食の安全管理及び危機管理対応に貢献できる人材を養成する。この目的のためには、ウシ・ブタなどの産業動物の生態・行動ならびに病態を知る上で、これらの動物に直に接することが求められる。

     医獣連携獣医分野: 「医学と獣医学は一つである(One Medicine)」という理念に基づき、加齢性疾患などヒトに類似する環境で自然発症した伴侶動物の疾病構造を解明し、科学的臨床評価に基づき、動物とヒトの間で相互に応用できる予防・診断・治療法の確立等、臨床医学の観点から動物とヒトの健康に貢献できる人材を養成する。このため、獣医師、獣医関連専門家として動物の臨床的な知見に加え、臨床研究等に関する広い視野を備えるために臨床動物ならびに実験動物(生体)に関する知識が不可欠である。

(3)動物福祉および動物実験倫理を考慮した取り組みについて

  本学部において、生体を含めた動物を利用する実習は、以下の事項を遵守して実施している。

     本学および本学部の実験動物に関する取扱規程は、「動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号)、研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年文部科学省告示第71号)、動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(日本学術会議平成186月)、動物殺処分方法に関する指針(総理府告示第40号)に基づいて制定されている。生体を用いる実習は、本学部のガイドラインに忠実に従って実施する。

     3R*および5F**の原則に基づき、最大限の代替手段・頭数の削減・苦痛軽減について十分に配慮した方法で実施する。
*:動物の苦痛の軽減、使用数の減少、代替法の活用:**:飢えと渇きからの自由、不快からの自由、痛み・傷害・病気からの自由、恐怖や抑圧からの自由、正常な行動を表現する自由)

   本学は国際実験動物施設認定協会(AAALAC International)の認定を取る予定であり、本協会の基準に沿った動物実験(実習を含む)を遂行する。

(4)生体を用いて行われる実習の手順

 本学部において、生体を用いて行われる実習は、動物福祉および動物実験倫理を考慮しつつ以下の手順で行われる。

     上記のガイドラインに沿った内容および方法の詳細を記載した実習計画書は岡山理科大学全学動物実験管理委員会において審議され、さらに学長により承認される。

     承認された実習計画書を遵守して実施する。

     実習終了後には、実習計画書に従って適切に実施されたか、そしてその教育効果についての確認を随時行う。

     その際、動物福祉および動物実験倫理の観点から、生体の使用頭数の適正性、苦痛軽減をするために、代替モデルへの置換が可能かどうかを常に念頭におく。

(5)国際基準に則った実験動物施設

 前述したように、本学部に設置されている実験動物センターは、AAALAC Internationalの認証を受けるべく折衝を重ねている。実験動物の管理に関わる国際認証は、本学部における研究のみならず実習における質保証を意味する。 

(6)将来に向けての検討

 本学部は完成年度前の教育体制にあり、設置趣意書に記した教育内容を変更することは出来ない。しかし、教育のICT元年といわれる今、本学の獣医学教育における実習カリキュラムも、時代に即した方法を検討する必要に迫られている。実験動物将来検討委員会(仮称)において、代替を意識した新たな手法を積極的に取り入れることを検討する。

参考:

(1)本学部において生体を用いて行われている実習

生命科学実習、獣医生理学実習、獣医薬理学実習、獣医実験動物学、医動物学実習、獣医毒性学実習、獣医免疫学実習、病理学実習、小動物内科学実習、小動物外科学実習、獣医画像診断学実習、産業動物臨床学実習、獣医臨床繁殖学実習、総合参加型臨床実習、動物薬理学実習、動物毒性学実習、実験動物学実習Ⅰ,Ⅱ、動物看護技術学実習Ⅰ,,Ⅲ、外科動物看護学実習、臨床動物看護技術学実習、病院動物看護実習、実験動物看護実習、産業動物看護学実習、獣医看護実務実習Ⅰ,

(2)動物福祉・動物実験倫理に関する教育が行われている授業

生命倫理学、人間・動物関係学、動物福祉論、実験動物学、動物実験学、動物行動学

 

秋学期の授業を始めるにあたり、安全確保のためにアクティブサーベイランスを再開しました。またコロナとインフルエンザへのワクチン接種のアンケート調査も始めました。

 

 学生・教職員の皆様へ                                2021年9月7日

新型コロナワクチン接種及びインフルエンザ予防接種に関するアンケートの実施について

                                              獣医学部長 吉川泰弘 

新型コロナウイルス感染の第5波では、圧倒的感染力のインド由来変異株[デルタ株]が蔓延しました。感染拡大は減少する傾向も見られますが、医療崩壊に近い状況は改善されていません。若齢層に感染が広がっていること、感染し重症化しても入院・治療が困難という状況です。政府は912日に期限を迎える緊急事態宣言についても、地域を決めて延長する方向で調整に入ったと報道されています。

昨年の流行当初、武漢株は1人の感染者が2.5人程度にうつす(R0=2.5)と考えられていました。このためワクチン接種が人口の67割程度進めば集団免疫を獲得できるとの見方がありました。しかし、デルタ株の登場でこの想定は崩れてしましました。感染力は、英国株が武漢株の1.5倍くらい(R0=3.5)、デルタ株は英国株のさらに1.7倍近い(R0=6)と言われました。この流行株への対応には、時間がかかりますが、①新型コロナウイルス感染防止のための集団行動などの規制の遵守、②個人のうつらない・うつさないwith corona生活の維持と③ワクチン接種率の向上によって、流行の終息への道が開かれると考えています。また、ワクチン接種には、重症化を防ぐ効果が十分にある事が証明されています。高齢の患者さんが多い病院内では、ブレークスルー感染によるクラスター発生例もありましたが、ワクチン接種により、「無症状」または「軽症」で済んでいる例があります。

今治キャンパスでは7月下旬から職域接種を開始し、6割以上の学生・教職員が、既に2回のワクチン接種を終了しています。夏期休暇がまもなく終わり、921日(火)のオリエンテーションから秋学期がスタートします。本日(9/7)から「新型コロナウイルス感染症の秋学期アクティブサーベイランス」を再開しています。より安全で安心できる講義・実習を行うため、全体のワクチン接種率を把握した上で秋学期の授業形態を考える参考にしたいと思いますそのため、下記のような新型コロナワクチン接種に関するアンケート調査をMylogにて実施したいと思います。なお、本学の方針として、ワクチン接種自体は任意としています。非接種者が不利益な扱いを受けることはありませんので、学生・教職員の皆さん、全員、必ず回答してください。

また、毎年度、今治キャンパス内でインフルエンザの予防接種を実施しておりましたが、本年度は新型コロナウイルス感染症の影響により学内での集団接種が実施できなくなりました。ただし、まとまった接種人数が見込める場合、瀬戸内海病院(今治市北宝来町)での実施が可能となりました。接種代も通常より低価格での設定をお願いしています。つきましては、インフルエンザ予防接種の希望調査も併せて実施したいと思います。

キャンパスで安心して教育・研究活動を続けるために、本アンケートの重要性を認識し、ご協力くださいますようお願いします。健康に留意しつつ修学に勉めましょう。

妻と作った人形。

娘の修学旅行の写真をもとにしました。

妻と作った人形。

娘の修学旅行の写真をもとにしました。

オリジナルの写真です

 

娘のドイツ時代のカーニバルの写真です。大家さんは子ネズミちゃん「モイスヒェン」といっていました。

下の人形は妻の作品です。

先日、妻の作品が創刊700号記念家庭画報大賞の佳作に入りました。

題「何して遊ぼう」です。

 

妻が、稽古に通い、粘土で作った作品です。昨年、東京フォーラムで、他の生徒さんと一緒に展示されました、「仙人草」

(水やり不要です)。

妻の人形作品です。

ドイツ時代の香代の幼稚園の友達です

ある夏のスナップです。妻の父母、娘、甥たちの集合写真から作りました。