現代生物進化の2019春①が終わりました2018年のスライドと質疑(現代生物進化の項参照)を見たうえで、講義を聞き、理解できたこと、理解できなかったことを、一つずつメールで送ってもらい、回答することにしました。2018年度は語句の質問と説明が多かったのですが、今回は、質問内容が深くなって回答に苦しむことが多くなりました。

 また、説明とともに新しいスライドを追加することになりましたが、このホームページの「現代生物進化」の項目の容量が一杯になったようで、新しいスライド等を入れる余地がなくなったようです。仕方がないので、ここに「現代生物進化2」を開きました。時間を見て、7回目までの質疑をアップしいと思います。

 

現代生物進化第1回質問回答まとめ(質問中、主なものを掲載しました)。

 第1回講義

質問:嫌気性細菌にとって酸素は猛毒で生体の全てを酸化し死を誘導すると書いてあったのですが、人間の体内には嫌気性細菌の方が多いと授業で聞きましたが大丈夫なのですか?消化器系の酸素濃度は、呼吸器系と異なり、とても低いです。そのため細菌に限らず消化管内の寄生虫でも嫌気性呼吸をするものが多いです。文献的には、大気の酸素濃度(Po2)は145Hg(21O2),健康な肺胞の酸素濃度は100110Hg、健康な大腸の酸素濃度は10Hg1.4O2)以下と報告されています。

 

質問:深海熱水噴出孔周辺は、生物活動が活発とありましたが水温は何度で、好熱性を示す細菌は何度まで耐えられるのですか?熱水に含まれる各種の化学物質にはどのようなものがありますか?テルモプラズマ綱に細胞壁が無く、細胞融合性を持つことの利点は何ですか?熱水噴出孔はマグマに通じているので高温です。噴出孔から噴出する水温は400℃にも達しますが、熱水噴出孔がある深海の水温は2℃くらいです。 深海の高い水圧によりこの高温でも水は液体のままで沸騰しないようです。好熱菌は通常、100℃以上でも生育します。古細菌では122℃での生育報告があります。基本的には、硫黄、鉄、リン、炭酸塩、一酸化炭素、窒素などでしょう。噴出孔の周りに生物が存在すれは有機物ができます。真核細胞は、原核細胞と異なり細胞壁をもちません。細胞膜が嵌入していろいろな異物を取り込み、時に共生したり、細胞内小器官に変質させたりすることが出来ます。また細胞融合して、細胞が巨大化することは単細胞の活動にとって有利です。原核生物に比べ原生生物のサイズは容積で5001000倍くらい大きいです。

 

質問:太古の海は200℃超とあり生命の誕生は熱水噴出孔と書かれていましたが、現在のような水温に下がってからできた熱水噴出孔なのか、太古の海で200℃の中にできた熱水噴出孔なのか、どちらの熱水噴出孔で生命は誕生したのですか?もしくは海全体が熱水噴出孔のような状態だったのですか?46億年前に誕生した地球の表面はマグマの海(1,000℃という高温のマグマ・オーシャン)に覆われていました。その約1億年後、地球が冷え始めたので、空の水蒸気が雨となって激しく降り始め、豪雨の後に地球に海が生まれました。原始海洋は200℃以下となり、温度は150200℃でした。しかし、40億年前の海でも、大気中の炭酸ガスの温室効果?で、温度は100℃を超えていたと考えられます。しかし、月は現在の1/10くらいの近距離にいたので、10mを超える海水の満ち引きがあり、海水はかき混ぜられ、揺れ動いていたと思われます。このエネルギーと海にある化学物資の反応で生命が誕生したという考えがあります。隕石から来たという、生命の起源に関する別の考えもありますが・・・・

理解できなかったこと:クロマトフォアとクロロゾームに関して質問です。クロマトフォアの由来が細胞膜であるのに対して、クロロゾームは由来が細胞膜でないならいったい何からどのようにできたのでしょうか?その材料か構造に違いはあるのでしょうか?

紅色細菌のクロマトフォアは光合成に必要な成分を多くもった細胞膜小胞で脂質二重膜です。多くの紅色細菌は嫌気状態で,細胞膜のくびれ込みに由来する細胞内膜系(intra-cytoplasmic membranes)を形成します。この膜小胞には光合成反応中心アンテナ色素タンパク質複合体電子伝達系成分、ATP合成酵素などの光合成初期反応に必要な成分が含まれています。他方、緑色光合成細菌のクロロゾームは主に糖脂質(リン脂質)よりなる一層の膜で囲まれた米粒の形をしているアンテナ器官です。バクテリオクロロフィル c 等が会合して棒状になったものを多数内包する脂質一重膜の組織です。包膜である脂質一重膜にはいくつかのタンパク質が存在しクロロソームの形状維持等に関与しています。一重膜なので外面は親水性、内面は疎水性のままになります。真核生物の小胞体、リソゾーム、ゴルジ体などのミクロソーム系はいずれも一重膜です。

質問:原核生物が誕生してから真核単細胞生物が出現するまでには約20億年かかっていますが、その期間の環境は単細胞生物でいたほうが利点のあるような環境だったのでしょうか?また多細胞生物は細胞群体のようなものから始まったのですか?高校生物で真核生物は細菌より古細菌のほうに近いと習ったのですが、原核生物と古細菌の分岐のほうが早いのはなぜですか?単細胞の方が有利というよりも、原核細胞から真核細胞ができるまでに、20億年かかったということでしょう。原核生物(真正細菌、古細菌)が多様化し、従属栄養で高エネルギー生産が可能になる細菌(好気性従属栄養真正細菌)が出現すること、共生の相手方になる古細菌が大型化し、細胞壁を消失させ、細胞膜を使って、異物を貪食できる能力を開発するのに、やはり時間がかかったのではないでしょうか?酸素濃度の上昇など、環境も少しずつ整ってきた可能性もあります。もちろん、20億年前に突然始まったわけではなく、真核生物になるための試みは何度も起こったはずです。しかし、うまくいかなかったケースは時期尚早だったのではないでしょうか?現存する多細胞生物の起源は群性化する立襟鞭毛虫(単細胞)であることがゲノムから明らかにされています。体細胞核と生殖細胞核を持った繊毛虫由来の多細胞生物は見つかっていません。でも、どこかにいるかもしれませんね。生物はあらゆることを試みたので、大半は絶滅してしまっています。古細菌は原核生物です。真正細菌を共生し、真核生物のもとになったと推測されています。真核生物は、理論的には真正細菌と真正細菌の共生or 真正細菌と古細菌の共生 or 古細菌と古細菌の共生のどれかで始まったのでしょう(1次共生)。その後、真核生物と真核生物の共生(2次共生)があったようです。今でも高等生物と細菌の共生はあります。アブラムシのブフネラ菌、植物の内生菌など・・・。

 

 

 

疑問:最初の生命体とはどのようなもので、どのようにして生まれたのか?隕石によって飛来したとして、それを証明する手立てはあるのか?どのようにその研究を展開していくのか?地球上で生命が生まれた場合と、隕石によって運ばれてきた可能性があります。の場合は、原始地球の状況を再現し、物理・化学的に有機物を合成し、高分子合成から生命体に持っていく研究で古くからおこなわれています。超高圧、高温、放電条件などで化学合成のアンモニア+CO2尿素+アクロレイン尿酸+アンモニア-O2プリン体にリン酸+りボース(フラノース)が出来れば、核酸が合成できる?RNAそのものに酵素活性があれば、重合して遺伝情報となる?しかしリボゾームがないと、RNAの複製が出来ても、蛋白合成ができない。核酸とアミノ酸が結合するtRNAを作り、RNAから蛋白に置き換える?しかし高次構造蛋白からなるリボゾームがやはり必要・・・。類似の質問がありました。隕石から最初の生物が来てた場合どうやって証明するのですか? 隕石中に水の痕跡、有機体の化石、あるいは有機物(核酸や蛋白や糖、脂質などの痕跡)が存在していれば、生物がいた可能性が高いと思います。

南極で見つかった火星の隕石?ALH84001」には、生命の痕跡があるということで話題になりました。その時の根拠は、1) ALH84001に含まれる炭酸塩が生命に適した温度で形成されたこと。2) ALH84001から見つかった有機物は炭素13を比較的少量しか含んでいなくて、生化学反応の痕跡であること。3) 磁性粒子(磁鉄鉱結晶)がバクテリア由来であること。4) ALH84001から見つかった奇妙な構造はバクテリアの化石であること。その後、磁鉄鉱結晶は非生物的に作れることが明らかにされ、この根拠はなくなりました。

 

現在、世界に存在する細菌の数やウイルスの数は比較的正確に数が推測されていますが、どうやって調べているんですか?僕も気になっていました。1998年、William Whitmanとジョージア大学の彼のチームは、細菌の生存領域として異なる生息域のタイプ(海洋と他の水生環境、土壌、土壌の地下、空気、動物の内部と葉の表面など)を調べて、その生息域の数を別々に推定しました。さらに、生息域は必要に応じてより小さなカテゴリーに分類され(森林土壌対非森林土壌のように)その数が推定されました。しばしば小カテゴリー別に直接、細菌数が算出されました。直接計算が不可能な場合は、公表されている文献に基づいて推定しました。このようにして地球上に存在する細菌数を推定しました。その結果、地球上の細菌総数は5x1030になりました。

 

高校までの理解では鳥類から人類が進化したものだと思っていたのだが、人類(哺乳類)は爬虫類のある一種から進化したことがわかった。また、高校生物ではあまり習わなかった五界説についてまだ最初の方であるけれど細菌やウイルスの違いなどについて理解することができた。鳥類が爬虫類から分岐したのは、ほ乳類が爬虫類から分岐したよりもかなり遅いと考えられています。始祖鳥は、現生鳥類の直接的な祖先ではありませんが(系統のとぎれた絶滅種)、ジュラ紀2億年前~14600万年前)の後期、15000万年前のものです。哺乳類の起源は古く、既に三畳紀後期、22500万年前には、最初の哺乳類といわれるアデロバシレウスが生息していました。そのルーツは、古生代に繁栄した単弓類 (Synapsida) のうち、キノドン類 (Cynodontia) です。単弓類は、爬虫類双弓類 (Diapsida) とは石炭紀3.5億年~2.9億年前中期に分岐し、独自の進化をしていました。単弓類は、ペルム紀末の大量絶滅(約25100万年前)において壊滅的なダメージを受け、キノドン類などごくわずかな系統のみが三畳紀まで生き延びました。

 

生物の進化について学んでいるが、そもそも生物が進化しない時の条件はハーディバインベルグの法則が成り立っている時と高校生物では習った。しかしハーディバインベルグの法則の内の45個のうちのどれを棄却する?)を常に満たすのは困難だと思った。しかしそれでも僕らが今生きている時代で僕は進化というのを目の当たりにしたことがない。この4個の条件を満たしていても特別に進化する時などはあるのか?また進化とは僕らの気づかない内に少しずつ少しずつ起こっているものかなと疑問に思った。吉川先生、解答をお願いします。ここで問題としている時間は40億年です。突然変異の累積は新種を作り出すには十分すぎる時間です。また、生命史を見れば、最低5回の大絶滅期があり、生物の大半が死滅するという、強烈な選択圧をくぐってきています。もともとハーディ・バインベルグの法則が成り立たないことを前提に考えています。他方、我々が生きている実時間はせいぜい100年以下です。周りの生物で進化を見るのは難しいかもしれませんが、例えばインフルエンザウイルスの遺伝子を見ればわかるように、流行ごとに遺伝子再集合(リアソート)や突然変異により進化?します。しかし、この場合は自然選択と突然変異がありますね。進化と多様性は、基本的にはゲノムの複製時の遺伝子組み換えと読み間違いによる突然変異を基本としているので、常に少しずつ起こっているとも言えますね。

理解できなかったこと:細菌の構造について質問です。鞭毛が生えている根元の器官ですが、図では細胞膜上にあり、細胞膜・細胞壁を貫通しています。今まで習った範囲ですと、この様な器官は見たことがありません。鞭毛の他にも同じような器官が存在するのでしょうか?線毛も類似の構造です。「線毛は機械の中心から伸び、その長さは細胞の大きさに匹敵することも珍しくない。機械は細胞壁を完全に貫通して存在している。細胞膜に埋もれている回転モーターは新たなサブユニットを追加し、襟の部分は伸びる線毛を外膜の外に誘導する。環状のタンパク質は二層の膜間にある空間を満たしているペプチドグリカン層に機械全体を固定する。」と書かれています。ゲノムをやり取りするには、細胞質同士をつなぐ必要があるので、性線毛は中空で、互いの細胞質に直接開口しているはずです。

疑問:隕石が衝突し、それによって多くの生物が滅んだにも関わらず、なぜ多く生き残ったのがげっ歯類であったのか。本来なら体の大きな爬虫類や両生類などが生き残るのではないのか。また、それらの動物はなにを食べて生き残ってきたのか。6600万年前、直径約1015キロメートルの小惑星が地球に衝突し、恐竜がほぼ絶滅しました。衝突により、約10兆トンの二酸化炭素、1000億トンの一酸化炭素、さらに1000億トンのメタンが一気に放出されたといわれています。また、発生した火災と衝突の衝撃で巻き上げられた塵埃が太陽の光を遮り、全地球規模の気温低下を引き起こし、その結果、植物の光合成が劇的に減少しました。低酸素と低温と少ない食料の中では、恒温(内温性)動物で小型の雑食性で夜行性のげっ歯類に近い哺乳類の祖先が生存に有利となり、生き延び、爬虫類がほろんだ空隙(ニッチ)を埋めるように、繁栄・多様化したと考えられています。大量消費の大型の変温(外温性)動物は、こうした環境には適応できませんでした。

 

質問:地球上の最初の生命体である細菌の多様性は、化学合成独立栄養細菌から、嫌気性従属栄養細菌、嫌気性光合成独立栄養細菌、好気性従属栄養細菌ときて何故、「好気性光合成独立栄養細菌」が誕生することがなかったのか、その理由があるのか、それとも、存在していたのか、が分かりません。最初は確かに、「嫌気性光合成独立栄養細菌」の方が多かったのですが、シアノバクテリアは酸素を産生する独立栄養の光合成菌細菌です。酸素に耐える能力を持っているので一応好気性と考えられます。しかし、シアノバクテリア(葉緑体)とαプロテオ菌(ミトコンドリア)の両機能を同時に備えた真正細菌が存在したかどうか?真面目に考えていませんでした。インターネットに素晴らしい、専門家の回答がありました。事態はかなり複雑のようです。シアノバクテリアは、酸素発生型光合成(光化学系Iと光化学系IIが機能する光合成)を営む原核生物として定義されます。ただ、生活様式(代謝系)としては、シアノバクテリアは多様な生物群を包含しており、また、その性質も環境条件によって大きく変化することがあります。1)進化の過程でシアノバクテリアがどのようにして出現したかは不明です(狭義の光合成細菌が起源に関係していることは明らかですが)。シアノバクテリアが出現する以前から地上には低濃度ではあるが酸素が存在していて、酸素を消費する代謝系が発達していたようです。酸素を還元して水に変化させるシトクロム酸化酵素(酸素呼吸の鍵酵素)もその一つです。このような時代から機能している酸素除去系がシアノバクテリアにも備わっています。シアノバクテリアが備えている酸素呼吸の能力が、最初から備わっていたものか、その後の進化の過程で獲得されたものかは分かりません。2)現生のシアノバクテリアには酸素呼吸の機能が備わっているようです。ただ、外部から与えるグルコースなどを取り込んで従属栄養的に増殖できるシアノバクテリアは比較的限られているようです。3)酸素発生の機能(光化学系IIの機能)を備えることによってシアノバクテリアの細胞では、非光合成細胞と比較して、酸素濃度が一万倍程度にも高まったと見積もられています。それに伴って酸素に耐える代謝系が整備されて行ったのだと思います。酸素の存在下で生育する生物と言う意味で、シアノバクテリアは好気性生物です

 

理解できなかったこと:細菌の性転換の仕組みについては講義資料より理解できたのですが、細菌の性転換は何を感知して行われるのですか?仮に集団内の性の偏りが感知されて性転換が行われるのだとしたら、の個体が減少して新たにの個体が必要になるというパターンも考えられると思うのですが、そうした場合は講義資料とは逆にからに性転換することも可能なのですか?とても面白い質問です。しかし、生物の世界で雌と雄の比率が1:1に近いケースはむしろ少ないでしょう。2倍体で性染色体をもつ高等生物でも魚類、両生類、爬虫類までは性染色体にかかわらず性転換します。雌雄比はあまり関係しません。環境影響の方が大きいのです。単純な生物では、一般に環境が良いと雌になり、環境が悪化すると雄が出現します。もっと単純な生物では、環境に恵まれれば無性生殖になります。しかし、鳥類と哺乳類くらいは性染色体に従って、約1:1の比で出現します。おそらく、感知するというより、fプラスミド(f因子)を持つ細菌が性線毛を伸ばし、fプラスミドのない細菌にヒットした時、性線毛が繋がるのでしょう。fプラスミドを持つ細菌(雄)が2分裂するとき、fプラスミドの入らない方の菌は、雌になるでしょう。またHfrの雄菌は受精させてもfプラスドは崩壊し、受容菌は雌のままです。fプラスミドによる性転換は1万回に1回くらいの頻度と言われています。

 

理解できなかったこと:深海熱水噴出孔や塩田などはどの生物にとってもかなり厳しい環境なのでかなり大きな進化を遂げないといけないと思うのですが、なぜ古細菌はそのような進化をできて魚などの生物はそのような厳しい環境にも適応できるようにならなかったのですか?とても面白いが、難しい質問です。おそらく、古細菌が分岐した時期(38億年前)は、地球の環境がとても厳しい(高温、高圧、高塩?・・・)状況だったと思います。その後、地球が次第に冷え、雨で薄められる、酸素濃度が上がる・・・など、住みやすい環境になり真正細菌が栄える世界になったのでしょう。極限状況に適応した細菌は少なく、ほとんどが古細菌として進化が止まったのでしょう。魚類などは5億年前に分岐した生物種ですから、極限状況では生存できない細胞から体が出来ています。

 

質問:1946年にLederberg,J.が大腸菌に雌雄の区別があり、有性生殖を行うことを発見してノーベル賞の受賞したとありましたが、雌雄の区別があって有性生殖を行えるのは大腸菌だけですか?また、細菌には環状DNAである、プラスミドが存在していますが、なぜ細菌にはプラスミドが存在しているのですか?その存在する経緯と雌雄の区別以外の役割は何なのでしょうか?Fプラスミドには、大腸菌の接合とDNA組換えに関与するF因子があります。しかし、大腸菌以外にもFプラスミドはあります。コレラ菌のP因子,緑膿菌のPF因子などです。プラスミドは細胞内で複製され、娘細胞に分配される染色体以外のDNA分子の総称です。原核生物の細菌や真核生物で真菌類に属する酵母の細胞質内にも存在します。宿主のゲノムDNAとは独立して自律的に複製を行います。F因子のようにプラスミドとして細胞質内に存在し、遊離の状態と染色体に組込まれた状態の二つの状態をとることのできる因子をエピソーム (episome) と呼びます。エピソームにはF因子のほか、薬剤抵抗性を支配するR因子 (resistant factor) 、コリシン産生因子、病原性プラスミドなどがあります。プラスミドの由来は、ウイルス同様、明確にはなっていません。

 

1回で理解できなかったこととしては、「生命の誕生は40億年前?」のスライドにおいて、研究者らはカナダで見つかった化石は非生物学的理論が当てはまらないので地球最古の生命体の痕跡(有機体)と確信しているとありましたが、その理論とは一体どういうものなのでしょうか。どんな結果から得られた確信なのでしょうか。ケベック州北部のハドソン湾で見つかったこの化石は、年代的(放射性同位元素による分析?)に37億7千万~42億8千万年前のものと判断されたこと。化石は、酸化鉄の単繊維とチューブからできており、生物の構造に類似していること(海底の熱水噴出孔のまわりにいる今の微生物が作る構造物に極めて類似)、酸化鉄が原始細菌により生成されたものと推測されること(炭素化合物と酸化鉄からなる微粒子が見つかった)。構造物のまわりにはリンを含む鉱物もあったこと。リンは生命の基本構成元素の1つで、死骸が腐敗するときに放出される。今回発見された構造物の分布は無秩序でなく規則的だったこと。当然、異論も出ています。

 

理解できなかったこと:太陽と地球はほぼ約46億年前に誕生したと言われており、45億年前には海ができ、原始生命体は原核生物(細菌)だというとが分かった。また、約38億年前には真正細菌から古細菌が分岐しました。この時代、生命の歴史の40億年の半分は細菌だけの世界であると分かったがどんな世界だったのだろうと思った。細菌だけの世界といっても、原始地球の隕石やガス、マグマ噴火の灰や高圧の大気、超高熱のマグマと冷えだした地殻、放電や雷、暴風の世界から始まり、水蒸気が雨になり、海が出来、地球から欠けた月が近くにあり、強烈な潮の満ち引きによる大波の中で原始生命である化学合成独立栄養嫌気性細菌が出来た?そのあと独立栄養菌を食べる?あるいは彼らの作った有機物を利用する嫌気性の従属栄養細菌(発酵菌)が出て、弱肉強食の世界の戦いを始めたでしょう。そのうち極限世界に生きる古細菌が分かれ、すみかを広げていきます。最も繁栄した嫌気性の従属栄養細菌が化学合成独立栄養細菌を駆逐し、また、独立栄養菌が利用できる無機物が減ってきたとき、太陽エネルギーを利用して光合成(炭酸ガスと水から糖を作る)をする嫌気性光合成独立栄養細菌がでてきました。その中でシアノバクテリアは光合成で糖とともに酸素を産生するようになりました。海水中の酸素、大気中の酸素濃度が上昇すると今度は、強烈な好気性従属栄養細菌が出現し、主流派となりました。といったストーリーが考えられます。もちろん、いろいろな例外はあります。例えば硝酸菌や硫酸菌のような化学合成好気性菌は、ずいぶん古くからいたようです。

理解したこと: 抗生物質は、人間の手で開発した?ものではなく、細菌の攻撃・防御手段等である事に衝撃を受けました。耐性菌も、もともと持っているDNAが発現をして耐性を持つようになった細菌であるとお聞きして、突然変異では無いんだなと少し安心してしまいました。抗生物質の詳細が、理解出来ました。突然変異で簡単に耐性遺伝子ができるわけではありません(頻度は少ないのですが、遺伝子の突然変異で耐性が獲得されるケースもあります)が、多くの耐性遺伝子はプラスミドにより運ばれるので、突然耐性菌になる(耐性を獲得する)ことはあります。また耐性遺伝子には多様性があります(細菌種により点突然変異が起きている)から、問題は複雑です。一度に、数種類の耐性遺伝子を持つプラスミドが伝搬すると、突然多剤耐性菌になります。

理解出来なかったこと:講義の中で錐体細胞は、ヒトでは3種類であり魚類は4種類もつと聞きましたが、進化は必要不必要が大きく関わっているもので夜行性ならば2種類に減るなどは理解できますが、魚類などが4種類以上の錐体細胞を持ち様々な色を認識するのは何故なのでしょうか? 視覚系の進化の中で解説します。魚類でも、ほとんど色覚細胞を持たないものもありますし、昆虫でも同じです。バクテリアロドプシンを基本として、その後、進化の過程で遺伝子が変異、重複を起こし多様化しました。それぞれの系統の生物が環境に合わせて(主に捕食・餌と外敵からの避難のための色の識別に利用)遺伝子を残したり、不活化したりしたのでしょう。基本的には昼行性動物は色覚細胞の種類が多く、夜行性(深海)の動物は色覚細胞の種類が乏しいといえます。集蜜昆虫は花の多様な色を識別するのに必要と思います。魚は熱帯魚のように非常にカラフルな種が多いことや水深による光の透過波長の違いと関係するかもしれません。魚の網膜では、上方(光が多い)を見る部分と下方(光が少ない)を見る部分で波長域の違う錐体細胞が並んでいるという報告もあります。

理解できなかったこと:何のために子孫を残すのか、というのは前々から疑問に思っている事だ。人間が獲得した娯楽的な感情で人生を楽しむのはいいが、他の生物は何をもって一生を良しとするのだろうか。ウイルスもRNA(ゲノム)をわざわざ他の細菌を利用してまで増やしていくが、生き物が増えようとするのは何が目的なのだろう。漠然とした疑問ばかりになってしまいすみません。

 

生き物が生きる目的は、個が一生を生きることとは少し違うかもしれません。般若心経の中に不生不滅、不増不減という節があります。地球が生まれてから現在まで、多くの生物が生まれ滅び、また生まれてきていますが、物質の総量で見れば、ほとんど変わっていないと思います。生き物が増えようとするのは、物質を循環するためであり、物質を循環させるということは、エントロピーを減少させ、永遠の平衡状態(死)に持って行かないためでしょう。地球の鼓動のようなものかもしれません。地球が鼓動をやめるときは、膨張する太陽に飲まれる時か、その前に人間がこの物質の循環を止めてしまう時か?生物の多様性も環境の保全も、エントロピーの減少を保障しようという思いなのではないでしょうか。答えになっていますか?

 

質問:今回の授業において、最後に出てきた細胞の性転換がよくわかりませんでした。Fプラスミドが性別を決定し、それを細菌同士で与えあうように合成させていくことはわかりますが、もう一つの組み換えの部分はわかりませんでした。最初の方は、Fプラスミドのコピーが性線毛を通して供与体(雄)から受容体(雌)に移入され、雌から雄になるプロセスです。この場合は、両細菌の遺伝子組み換えは起こりません。性転換といえます。しかし、その後、染色体にFプラスミドが組み込まれることもあるかもしれません。後の方は、Fプラスミドが細菌の染色体(雄)に組み込まれている場合です。この時は、Fプラスミドとともに供与体(雄)の染色体も一緒に受容体(雌)に移入します。そのため受容体(雌)では、相同遺伝子の組換えが起こります(我々が配偶子を作るときに減数分裂するのと同じです、両親から来た相同染色体間で遺伝子の組み換えが起こります)。この時Fプラスミド部分は分解されてしまうので、受容体細菌(雌)のまま組み換え遺伝子を持つ、全く新しい細菌(雌)になります。

 

判らなかったこと・疑問に思ったこと:生物の始まりは海中で嫌気性の独立栄養生物からで、次に嫌気性の従属栄養生物が生まれ、嫌気性で独立栄養で光合成をする生物が誕生したということである。ここで疑問が生じた。最初の嫌気性で独立栄養の生物は海中のどの深さで誕生したのだろうか。仮に海底の熱水噴出孔のような栄養の多い場所で生まれたとすると、深海には光が届かないので、光合成をする細菌が生まれる頃までに光が届く深さで生きられる能力を獲得したのだろうか。海中には水圧があるので、深さが浅くなれば深海魚のように膨張して死んでしまうのではないか。また仮に最初から浅い海の中で誕生したとすると、現に熱水噴出孔の周りなど深海にも細菌が生息していることから、高まる水圧を克服できる能力を獲得し深海まで生息域を拡大したのだろうか。以上、海中で誕生した最初の生物と水圧に関して疑問に思いました。面白い質問です。超高圧と高分子、生物との関係は、わたくしのHPのうち「超高圧と生物」を見てください、いろいろなデータが載っています。については、好圧細菌はゲノム解析から見ると拡大域を広げていったようです。ありません。超高圧による細菌破壊力からみて細胞壁の厚いグラム陽性菌は400Mpa4000気圧、4万メートル)くらいまでは耐えるようですし、芽胞は約1GPaですから水深10万メートルの水圧でも生存します。等浸透圧の多細胞生物とは違います。はわかりません。原始地球での最初の生命体は原始海の波打ち際で低分子から高分子化し、RNA合成からはじまったという考えが多いようです。この時期は大気中のガスやマグマの噴火やほこりで太陽光はまだ地球まで十分届かなかったと思われます。

 

理解できなかったこと:深海熱水噴出孔や塩田などはどの生物にとってもかなり厳しい環境なのでかなり大きな進化を遂げないといけないと思うのですがなぜ古細菌はそのような進化をできて魚などの生物はそのような厳しい環境にも適応できるようにならなかったのですか?とても面白いが、難しい質問です。おそらく、古細菌が分岐した時期(38億年前)は、地球の環境がとても厳しい(高温、高圧、高塩?・・・)状況だったと思います。その後、地球が次第に冷え、雨で薄められる、酸素濃度が上がる・・・など、住みやすい環境になり真正細菌が栄える世界になったのでしょう。極限状況に適応した細菌は少なく、ほとんどが古細菌として進化が止まったのでしょう。魚類などは5億年前に分岐した生物種ですから、極限状況では生存できない細胞から体が出来ています。

 

1つ目は、細菌は、化学合成独立栄養嫌気性従属栄養嫌気性(発酵)光合成独立栄養嫌気性従属栄養好気性と登場しましたが、光合成を行う働きはどこから来たものなのでしょうか。光合成を行うようになったきっかけを教えて下さい。一般には、原子大気を覆っていたガスや大気中のヘリウムや炭酸ガスが減って、太陽光が豊富に海に届くようになった。隕石やガスに入っていた化学物質の濃度が化学合成細菌及び嫌気性従属栄養菌の食物連鎖で減少しつつあった。そのため、太陽エネルギーを利用して炭酸ガスと水から糖と酸素をつくる細菌が出現し、繁栄したと考えられています。
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つ目は、吉川先生は、講義の中で人間の体内(消化管内)の細菌は嫌気性が多いと仰いましたが、その理由は好気性になるには酸素が少ないからでしょうか。そうです。それとも、嫌気性に適しているほど硝酸が多いのでしょうか。理由を教えて下さい。消化器系の酸素濃度は、呼吸器系と異なり、低いです。細菌に限らず消化管内の寄生虫でも嫌気性呼吸をするものが多いです。文献的には、大気の酸素濃度(Po2)は145Hg(21O2), 健康な肺胞の酸素濃度は100110Hg、健康な大腸の濃度は10Hg以下と報告されています。

 

 

 

 ここからは、第2回講義に関する面白かった質問とそれに対する回答集です。色々な質問有難う、勉強になりました。

 現代生物進化第回質問回答まとめ

質問:アメーバの貪食がとてつもない勢いで、白血球などと比べると全く違うという話がありましたが、なぜ人体の防御的機能である白血球系の貪食はアメーバのように激しくないのでしょうか?それくらいの勢いがあった方が風邪やインフルエンザにかかることがなかったのではないのでしょうか?面白い質問です。しかし、多くのアメーバは環境中で単独で生きていくために栄養源として餌を食べます。他方、白血球は血液中の栄養素は細胞膜上のトランスポーター分子などにより取り込むので、栄養源を食べる必要はありません。血液中に侵入した異物(細菌やウイルス)のみを貪食すればいいのです。宿主に寄生し、共生できたアメーバと環境中で独自に生存するアメーバを比較すると、貪食能力や運動能力などが違うかもしれませんね。

 

質問:古細菌はユーリ、クレン、ナノ、コル・アーケオータの4つに分類されるとありクレン古細菌は好熱菌を中心としたグループで、ユーリ古細菌はメタン菌や高度好塩菌を中心としたグループとありましたがナノ古細菌とコル・アーケオータ古細菌はどのような特徴のグループですか?また、ユーリ古細菌は古細菌の8割以上、クレン古細菌は古細菌の2割とありましたが残りの2つはほとんど存在しないということですか?ナノ古細菌とコル古細菌は、新しく見つかったグループで、現在、それぞれ数株程度です。純培養は出来ていないようです。ナノ古細菌(最初の発見は2002年と非常に新しい)は、クレン古細菌に寄生する特別なグループで、細胞の大きさやゲノムサイズが極端に小型化している古細菌です(通常の細菌よりも小さい)。これまで数系統が知られている程度です(好熱菌に入ります)。コル古細菌は1996年にrDNAの解析から、クレン古細菌、ユーリ古細菌と違うグループということになりました。2008年全ゲノム解析が行われました。クレン古細菌に近縁で好熱菌ですが、2018年現在、純培養はできていません。従って、現在わかっている限りでは、ユーリ古細菌とクレン古細菌がほとんどです(合わせて502種、推定950種ですから、同定されている古細菌で400種がユーリ―古細菌、100種がクレン古細菌という割合でしょう。推定種数はその約2倍)。

 

理解できたこと:二次共生についてです。以前から細胞内共生説は聞いていましたが、単細胞が2回も共生できることは初めて知りました。共生によって器官が増えることは利点だと思いますが、資料のように四重膜までいくと、膜内外の輸送や膜タンパク質の作成が大変だと思いました。膜が通常より多い分、輸送や膜タンパク質が多くなると思うからです。だから動物や植物は二重膜までしかないのでしょうか。ミトコンドリアの外膜は真核細胞の細胞膜、内膜はαプロテオ菌由来と考えていいようです(両方の膜の脂質成分、蛋白とリン脂質の重量比、膜蛋白の種類・機能の違いから)。しかし、植物の葉緑体については外膜も内膜もシアノバクテリア由来という説になりつつあります。3重、4重膜の葉緑体は、細胞内にあっても基本的には食胞内にある細胞外共生(ミドリムシ型)という考え方です。植物の葉緑体は、真核細胞に取り込まれたのち食胞の膜は消失する。シアノバクテリアの外膜と内膜が残ったと考えられているようです。僕も初めて知りました。複雑ですね。https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=3632

 

疑問:ミトコンドリアが増殖をする際に内側の膜は自身のDNAから作ればよいと思うのですが、外側の膜の遺伝情報はどうするのでしょうか?宿主の細胞膜のDNAを取り込む仕組みがあるのでしょうか?ミトコンドリアを標識して顕微鏡下で生細胞を観察すると細胞内でミトコンドリアが活発に動き,ミトコンドリア相互の融合と分裂を頻繁に繰り返している様子を観察することができます。細胞内膜の合成は、ほとんど小胞体(ER)で行われ、細胞小器官から出芽した小胞が細胞質を移動し、細胞膜に取り込まれます。このメカニズムで分裂したミトコンドリアを包むのかもしれません。ERでは、細胞質に向いている側の脂質層は常に一定です。膜の合成過程では、小胞体の内腔にて、脂質はまず膜の細胞質側に取り込まれ、フリッパーゼによって一部は細胞外部側へ運ばれます。また、ミトコンドリア膜の融合蛋白(Mitochondria fusion: Mfn)であるMfn2はミトコンドリアのみならず小胞体にも一部局在し,このERMfn2がミトコンドリアのMfn1またはMfn2と複合体を形成することで,ミトコンドリアとERが結合するとの報告がなされています。

 

理解できなかったこと:また共生の話です。ミトコンドリアの由来のプロテオ細菌が二匹いたとして、その二匹が同時に一つの真核細胞に共生したら、できた細胞の二つのミトコンドリアは別々のDNAを持つのでしょうか。それとも片方しか生き残れないのでしょうか。似た状況は精子と卵子が受精した時、父方のミトコンドリアと母方のミトコンドリアが1つの細胞に入りますが、父方のミトコンドリアはすべて消失してしまい、母方のミトコンドリアしか残りません。また、共生により小器官が増えたら原形質流動はやりにくくなるのではとおもいます。原形質流動は細胞壁があればなおさらです。動物細胞の細胞質ではアクチンケーブルなどの上をダイニンやキネシンなどの移動蛋白にのせて物質輸送が行われるので、ゴルジ体や小胞体のような細胞内膜小器官が増えても問題ないと思います。そうしたらこの生物は体を大きくすれば問題ないと考えます。この繰り返しをすると、いつかは人間のような大きさの単細胞生物ができるのではないでしょうか。なぜ今の地球ではこのような生物が見当たらないのでしょうか。人間サイズのゾウリムシがなぜ存在しないか?もしできたとしても、多細胞動物の餌になってしまったのではないでしょうか?多細胞動物が3胚葉化し、臓器、組織、器官を発達させ、神経系で統合させ弱肉強食を基礎に共進化してきたことを考えると、このゾウリムシは、先カンブリア紀に栄え、カンブリア紀の生物爆発で滅びたエディアカラ生物の巨大生物のようなイメージになるのですが。でも、競争相手のいない極限世界や独立栄養生物しかいない環境では、生きているかもしれませんね。

疑問に思った点:鞭毛虫類のランブル鞭毛虫は、2分裂の無性生殖で増殖し、ミトコンドリアが消失し、代わりにマイトソームを持つようになるとのことですが、マイトソームになった後の無性生殖個体からは一切ミトコンドリアは出てこないのでしょうか。無性生殖は宿主の真核細胞(ジアルジア;ランブル鞭毛虫)のゲノムの複製です。マイトソームはミトコンドリアの遺物で、核に移動したミトコンドリアのゲノムによりコードされています。ミトコンドリアゲノムは、宿主のゲノムに移動してしまったので、再びミトコンドリアとして独立することはありません。また、マイトソームは酸化的リン酸化をしないと調べたら出てきたのですがどのようにエネルギーを得ているのでしょうか。ジアルジアは嫌気性呼吸(酸素を利用しない発酵などの呼吸、ジアルジアは酢酸発酵でATPを作ります)によりエネルギーを得ています。参考資料です。https://www.natureasia.com/ja-jp/natecolevol/interview/contents/4

 

トリパノソーマの構造のところにて:ヒルは魚類・両生類・爬虫類/吸血性節足動物は爬虫類・鳥類・哺乳類に寄生すると書いてあるが、なぜ爬虫類だけヒルにも吸血性節足動物にも寄生されるのか?教えてください。勘違いです。2つの宿主をもつトリパノソーマは脊椎動物の血中と吸血動物の腸管が主な寄生部位です。脊椎動物のうち水生の魚類・両生類・爬虫類を宿主とするトリパノソーマ種はヒルにより媒介され、陸生脊椎動物の爬虫類・鳥類・哺乳類を宿主とするトリパノソーマ種は吸血性の節足動物により媒介される。という意味です。おそらく環形動物の水生ヒルに適応した古いトリパノソーマは、水生の魚類、両生類、爬虫類を第2の宿主とした。それに対し、吸血性の節足動物(陸生)に適応した新しいトリパノソーマは、陸生の爬虫類、鳥類、哺乳類を第2の宿主としたのでしょう。ヒルは哺乳動物にも寄生します。ただ哺乳動物にトリパノソーマを媒介するヒルがいないということです。

 

ゾウリムシはなぜ配偶子も接合子も生じさせないという特殊な分裂をするのですか?

ゾウリムシは無性生殖と有性生殖をおこないます。無性生殖は2分裂によります。体軸方向の前後の部分に分かれるようにして分裂します。有性生殖では、精子や卵子といった配偶子は形成しませんが、生殖核を交換する細胞の接合が行われます。具体的には、接合に先立ち、大核(体細胞核)が消失します。残った生殖核である小核が減数分裂を行い、4つの核に分かれます。このうち3つは消失します。残った1つがさらに2つに分裂し、このうち1つの核を互いに交換します。その後、それぞれの細胞内の2核が融合することで接合は完了します。しかし、2個体のゾウリムシでは、細胞そのものの融合は行われません。接合後に大核は小核を元に改めて形成されます。

 

質問:ミトコンドリアや葉緑体が二重膜なのは共生によるものだと高校で習ったのですがもとの細胞をA、共生した細胞を小器官BとするとBの外膜は元々Aの細胞膜ということになり、Bの内膜はB由来ということになるのでしょうか?その通りです。膜はリン脂質と膜蛋白からできていますので、外膜、内膜の特徴は、リン脂質と膜蛋白が真核生物の膜由来か?原核生物由来の膜か?で特徴づけられます。外膜の組成は真核生物の細胞膜と同様に蛋白とリン脂質の重量比がおよそ1:1です。外膜にはポリンという膜蛋白が大量にあり、分子量5000以下の分子が自由に透過できるようなチャネルを形成しており、外膜の進化的起源は真核生物の細胞膜系だと考えられています。他方、内膜はミトコンドリアの機能を担う酸化的リン酸化に関わる呼吸鎖複合体などの酵素群が規則的に配列しています。外膜とは対照的に基本的には不透性で、内外で物質を輸送するためにはそれぞれの物質に対して特異的な輸送体が必要となります。内膜にはミトコンドリアを構成する全蛋白質のおよそ2割が含まれており、蛋白質とリン脂質の重量比は3:1です。内膜の進化的起源は共生細菌の細胞膜を由来としており、内膜に特徴的なリン脂質カルジオリピンの存在がその証拠と考えられています。

 

質問:トリパノソーマは口になるような器官が図には有りませんが、寄生してどのように宿主から栄養の吸収を行っているのですか?よく気が付きましたね。胞子虫の中でもマラリア原虫、トリパノソーマ、リーシュマニアなどの血中に寄生する原虫は、体表の細胞膜に位置する輸送タンパク質(トランスポーター)を使用して、宿主から大量の栄養素を獲得します。そのため環境中で生きるアメーバや繊毛虫、鞭毛虫のような貪食機能は発達していません。

 

質問:人間の血液は常に新しく更新されていくのに対して、人間が住血胞子虫に属しているマラリア原虫に感染したとき、マラリア原虫はどうして古い血液と一緒に死ぬことなく、さらにマクロファージなどの免疫系によって排除されることなく、血液中に住み続けることができるのか、が分かりませんでした。マラリア原虫も古い赤血球と一緒に処理されます。しかし、それ以上に無性生殖します。原虫もいろいろな手段で生体防御系を潜り抜けます。抗原変異をして免疫系から逃れる。抗原量を増やして免疫系を麻痺させる。シストを作り免疫系に認識させない、免疫系のシグナル経路を阻害する。マクロファージに貪食されてもライソゾームとの融合を阻止する、ファゴライソゾームとなっても分解酵素活性を阻害する・・・などなど複雑です。でも宿主も寄生体に対して遺伝的抵抗性の変異をします。HPの「病原体の科学」第14回に詳しく書いてあります。また、ウイルスの逃げ方は第5回に書いてあります。

 

質問:藻類で群体を作るイシクラゲやネンジュモなどは数珠繋ぎとなった細胞の中に糸状の藻体があるとの事でしたが、群体となるメリットはあるのでしょうか?あると思います。群体のサイズとエネルギー消費の関係は、正比例ではなく、個体の数が増えれば増えるほど、一個体あたりのエネルギー消費は一定の法則(べき乗則)にそって減っていくようです。群体は単なる個体の集合体ではなく、群体としてエネルギー収支をつけているようです。

 

分からなかったこと:原生生物でトリパノソーマを出されていましたがトリパノソーマは具体的にどのような症状を引き起こすんでしょうか?ハテナについてですが、ハテナは分裂で増殖するんですか?また分裂したときに藻類と原生生物に分かれるとおっしゃつてましたが両方の特徴を持つ(ハテナのまま)増えることはできないんですか?症状:アフリカトリパノソーマ症は、最初の数か月は無症状。その後、高熱、頭痛、関節痛、肝や脾、リンパ節腫脹。進行すると嗜眠、死亡。アメリカトリパノソーマ症は発熱、眼瞼腫脹、リンパ節炎、その後、肝・脾腫、貧血。死亡の原因のほとんどは心筋炎。2分裂で増殖します。その時、共生体と宿主の分裂が同調していません。そのため片方の娘細胞(鞭毛虫)には共生体(緑色藻類)が共生します(ハテナのままでいる)。他方の娘細胞は鞭毛虫だけになります。ただ、機会があれば鞭毛虫は緑色藻類を貪食し共生する(ハテナに戻る)ことが出来るようです。

疑問点:今回の授業でアメーバや繊毛虫のような単個細胞は、人間の一つの器官を構成する単個細胞に比べて、その細胞内構造が複雑で、独自に発達した器官を持っているといいましたが、それは単個細胞として完結して単独で生きる微生物という小さな生物だから、出来ることである。目に見える生物以上のサイズというよりも、多細胞化して、臓器や器官という構造をとると、原生動物の小器官が多細胞の1つの器官に相当するので、個々の細胞だとそのような器官をそろえることは必要なく、作れないものであり、そのようなことを考えると、原生動物の小器官が多細胞動物の臓器や器官に比べ一概に優秀だといえないのではないですか?このように解釈するなら、それで正しいと思います。またボルボックスのような細胞共生体ではお互いに取り込んでいたエネルギーはどのように共有しているんですか?胚発生の胎児胎盤細胞と内部細胞塊のように、相互にエネルギーや代謝物の需給をしているようになると思います。表面の酸素に触れる部分や栄養素に触れる部分はエネルギー生産が高いでしょう。内部細胞はそのエネルギーや高分子をもらい、違う機能や分化を行っていくのでしょう。

 

メッセージ: スライドの中にあった上界、界、門、亜門、網、目これらは分類に使われているものであると思うのですが、なにか基準のようなものがありますか?
ドメインdomain)は、界よりも上の、最も高いランクの分類階級です。ゲノムの進化の違い(リボゾーム遺伝子のホモロジーなど)を反映して行われました。その結果、真核生物ドメイン、細菌ドメイン、古細菌ドメインの3つのタクソンが上界にあたります。真核生物ドメインは、進化の過程で細胞構造(単細胞・多細胞)、栄養の取り方(独立栄養、従属栄養)、動静などに違いが生じた結果4つのグループ(界)に分かれました。原生生物界、植物界、真菌界、動物界。このようなトップダウン方式の基準があります。他方、ボトムアップ方式があります。動物の種の場合、種を基本単位(交配の可能性、遺伝子の類似性など)として、相互に類縁の深い種どうしを「属」、近縁の属を「科」、近縁の科を「目」、近縁の目を「網」に、近縁の網を「門」に包括されるというように、基本単位のまとまりから順次分類階級を上げていき界につなげる方法があるようです。

 

疑問点:鞭毛が2本の精子は後方にも泳ぐ事が出来るとありましたが、後方に泳ぐ事が出来るとどんな利点があるのですか?前進のみの車より、前後左右に動ける車の方が便利です。しかし、高等動物を含め多くの雄性配偶子の鞭毛が後方1つ(ユニコンタ)であることを考えると。高等動物の精子は、他の精子より早く卵子にたどり着く競争になったので、直進性の早い方が選ばれたのかもしれません。バイコンタ(前方2鞭毛)のころの雄性配偶子は早さより広い行動範囲を持つことが重要だったかもしれませんね。

 

メッセージ: この前見ていたドラマでサシガメ由来のシャーガス病についての話がありました。ドラマでは、サシガメの糞を濃縮した液体をあびることでシャーガス病になった、というようなことがありましたが、それだけで病気になるものなのでしょうか。長文失礼しました。私も吸血昆虫という印象だったので糞からの感染?とおもいましたが、調べてみると指摘のようにトリパノソーマが糞中に出るようです。家の土壁、屋根、天井、マットレスなどに生息しているサシガメ類昆虫の糞に含まれるトリパノソーマが粘膜、眼瞼結膜、皮膚刺咬部から体内に侵入することで感染が成立します。就寝中、知らないうちに感染していることがほとんどですので、注意が必要です。また、汚染された飲食物を摂取することによる経口感染、輸血や臓器移植による感染例も報告されています。

 

高校では一種類だけだと思っていた古細菌がさらに四種類に分けられていること。
この四種類はそれぞれどんな違いがあるのですか?遺伝子の相同性によって分けています。
クレン古細菌は 陸上の温泉などにいる好熱好酸菌で80℃以上の高温を好み海底熱水噴出孔などにいる超好熱菌です。また、ナノ古細菌は小型でクレン古細菌に寄生しています。タウム古細菌は中温性の亜硝酸古細菌ユーリ古細菌塩湖塩田など非常に高い塩濃度を好む高度好塩菌、嫌気環境でメタンを生成するメタン菌、 超好熱菌、好熱好酸菌などを含みます。
コル古細菌は、古細菌の中で最も原始的と言われている菌です。最近、古細菌の分類はさらに複雑に分かれています。

 

質問:ミトコンドリアと葉緑体は独自に増殖するとありましたが、増えすぎては良くないのではないでしょうか?また、どうやってバランスを保って増殖しているのですか?また、ちょうどよい細胞内でのミトコンドリアと葉緑体の個数というものは決まっているのでしょうか?環境によって変化します。ミトコンドリアは細胞のおかれた状況で(激しい運動や高いエネルギー産生を要求される)数を増やしたり、巨大化します。また、動物細胞では、低酸素症と無酸素症がミトコンドリアの伸長を引き起こし、フリーラジカル発生剤は大きなミトコンドリアを誘発します。これは高い酸化ストレスへの適応であることが示唆されました。基本的には大型や多数のミトコンドリアを持つ細胞は酸素消費量が多いと思いますが、低酸素やラジカルストレスへの代償ということもあるようです。センサーは細胞の方にあって、シグナルは細胞からミトコンドリアなどに伝えられると思われます。

 

理解できなかったことは、原虫を含む原生生物を分類する場合、運動器官によるものが最も一般的なのはなぜなのかということです。運動器官の形態が同じものとして分類したときほかにも共通性は見られるのでしょうか。はいあります。それぞれ系統樹で分岐した時点が異なるために、異なる特性を持っています。例えば、鞭毛虫類は立派な鞭毛で動くだけでなく、2分裂の無性生殖をすること、多くの細胞内小器官をもっています。根足類のアメーバーは高い貪食能を持つこと、体外に排出される時はシストを形成し、シスト内で核分裂を起こし、4核になること、胞子虫類はアピコンプレックスを持つこと、他の原生動物と違い、雌雄の配偶子形成(ガメートゴニー)をすること、繊毛虫類は体細胞核(大核)と生殖細胞核(小核)を持ち、減数分裂し接合すること、消化系、浸透圧調節機構をもつこと等々です。それぞれのグループが独特の共通性を持っています。

核仁と核の違いは何ですか?真核細胞の核膜に包まれた中身を核と言っています。大部分はゲノムDNAで占められています。しかし、この中にRNAを含む領域があり、この部分を核仁(核小体)と言っています。核仁は核の中でも分子密度の高い領域で、リボゾームRNAの転写(DNAからRNAに情報を移し替える)やリボソームの構築が行われる場所です。リボゾームRNAにリボソーム蛋白質が会合して形成されたリボソームは核膜の孔を経て細胞質に運ばれ翻訳(メッセンジャーRNAをたんぱく質に翻訳する)装置として機能します。

 

質問:藻類は酸素発生をする光合成を行う生物のうち、地上に生息するコケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称だと書いてあったのですが、藻類自体は植物ではないのですか?植物の定義が確定しないことが問題です。植物を狭義に共通祖先で地上に生息するコケ植物、シダ植物、種子植物と定義すると、藻類はそれ以外の光合成をする独立栄養生物で酸素を発生するものになります。そうすると藻類は光合成をおこなう酸素発生の独立栄養生物でを除く、生物学的には非常に広い分類になります。真正細菌であるシアノバクテリア(藍藻)から、真核生物単細胞生物(原生生物)である珪藻黄緑藻渦鞭毛藻など、及び多細胞生物海藻類(紅藻褐藻緑藻)など、進化的に全く異なるグループを含んでいます。そうなると「藻類」という呼称は光合成を行うという共通点を持つだけの多様な分類群の総称であり、それ以上の意味を持ちません。しかし、広義に「植物を酸素を発生し、光合成をする独立栄養多細胞真核生物」とすると、今度は、海藻類(紅藻褐藻緑藻)などは単純な植物になり、真核細胞である単細胞の原生生物、珪藻黄緑藻渦鞭毛藻などが藻類になると思います。

 

メッセージ: ランブル鞭毛虫はミトコンドリアではなく、代わりに相同と考えられるマイトソームという細胞内小器官が存在し、他には小胞体、ゴルジ体があるがマイトソームは具体的にどんな役割を果たしているのか?同じ鞭毛虫のミトコンドリア相同器官(MRO)であるトリコモナスのヒドロゲノソームでは水素を利用してATPを産生していますが、ジアルジアのマイトソームはATP産生能を失い、代わりに細胞質において解糖系の一部として酢酸からATPを作り出しています。このようにジアルジアのマイトソームは非常に退化しており、残された機能は鉄・硫黄Fe-Sクラスター合成系だけのようです。鉄・硫黄Fe-Sクラスターは、電子伝達反応における酸化還元中心として機能するほか, 酵素の触媒中心としての機能, 鉄濃度や酸素濃度などのセンサーとしての役割が知られています。

 

メッセージ: ガメートゴニーでn+n→2nとなり、スポロゴニー中に減数分裂するとありました。人間は2nの遺伝子で生きていますが、2nではなくnで生きることの利点はなんでしょう?ガメートゴニ―は、無性生殖(クローン増殖、遺伝子組み換えなし)に比べれば、非常に利点は高いですが、2nに比べれば利点はないと思います。Naがガメートゴニ―で雌雄に分かれても、どちらのゲノムもその構造は同じ(Na, Na)です。他の個体の雌雄(Nb,Nb)と接合したとき、はじめてNaNbという2nになります。減数分裂するとNabという新しい個体が出来ます。2nの個体は精子と卵子を作るときに減数分裂するので精子はNab、卵子はNcdになります。受精卵はNabNcdを持つことになります。これが次世代の配偶子を作るときは減数分裂しNabcdとなります。

質問:1胚葉性動物(海綿)はどの部位でもすべての機能を果たすことができるなら、多細胞生物というより単細胞生物が群体をつくったというように捉えることはできませんか?考えてみると、非常にむずかしい指摘です。ボルボックスなどは単細胞の群生?(ボルボックス類も複雑なようです)なのに、海綿は1胚葉の多細胞動物(側生動物)とする理由ですね。定義を見ると、「側生動物Parazoa)は、生物分類において動物界の一部を構成する亜界(subkingdom)の一つ。「横枝の動物」を意味し、早い段階で動物の多くと進化上分岐したと考えられている。側生動物は肉眼で見える大きさがあり、細胞の分化が見られるという点で、原生動物とは異なる。また、明確な組織や器官を持たない点で、真の多細胞動物(真正後生動物 Eumetazoa)とも異なる。 現存する側生動物は、カイメンなどを含む海綿動物門のみである。」とありますがかなり厳しい説明ですね。ボルボックスでも群生となれば目に見えます。表面側の細胞と内側の細胞は機能が異なり分化して見えますよね。もう少し厳密な差が必要に思います。宿題としましょう。時間があったら調べてみます。